【4月5日 AFP】(写真追加)フランスの元閣僚でスポーツ用品大手アディダス(Adidas)の元オーナー、ベルナール・タピ(Bernard Tapie)氏(78)が4日未明、自宅で妻と就寝中に強盗に押し入られ、暴行を受けた。仏警察が4日、明らかにした。

 首都パリ近郊のコンブラビル(Combs-la-Ville)にあるタピ氏の豪邸に4日午前0時半(日本時間同7時半)ごろ、男4人が侵入。タピ氏とドミニク(Dominique Tapie)夫人を殴打し、電気コードで縛り上げた。

 コンブラビルのギー・ジョフロワ(Guy Geoffroy)市長はAFPに対し、強盗犯らはドミニク夫人の「髪の毛をつかんで引きずり、財宝の在りかを聞き出そうとした」が「財宝は見つからなかったため、さらに激しく暴力を振るった」と語った。

 男らは広大な敷地にある豪邸の1階窓から、警備員に気付かれることなく侵入し、捜査関係筋によるとロレックス(Rolex)などの腕時計2点と、イヤリングやブレスレット、指輪など数点を盗んで逃走した。

 ドミニク夫人は自力で拘束を解き、隣家に助けを求めて警察に通報。夫人は顔を何度も殴打されたが軽傷で、検査のため病院へ搬送された。検察当局によれば、タピ氏も頭部を殴られたが、病院へ行くのは拒否したという。

 警察は、強盗と略取・誘拐の線で捜査を進めているという。

 貧しい家庭に生まれたタピ氏は、スポーツ界とメディア業界で一大帝国を築き上げた実業家。政界にも進出し、1992年にはフランソワ・ミッテラン(Francois Mitterrand)内閣で都市問題担当相に就任した。

 しばしば財力を誇示する傾向があり、全長72メートルのヨットを購入したり、仏サッカーリーグ1のクラブチーム「オリンピック・マルセイユ(Olympique de Marseille)」を買収したりして話題を呼んだ。オリンピック・マルセイユはタピ氏の会長時代にリーグ優勝を果たした。

 だが、その後タピ氏は、仏サッカー界を揺るがす八百長スキャンダルへの関与や、汚職や脱税、会社資産の不正流用などで有罪判決を受けた。5か月間収監され、仏国内のすべての選挙に立候補する権利を剥奪された。(c)AFP/Sarah BRETHES, Sylvie MALIGORNE