【4月2日 AFP】スポーツ仲裁裁判所(CAS)は1日、ドーピング違反による8年間の資格停止処分が覆っていた中国競泳男子の孫楊(Yang Sun、ソン・ヨウ)の新たな聴聞会が5月に開かれることを明らかにした。日程は同24日から28日の週で、延期された東京五輪が開幕するわずか2か月前となっている。

 五輪で三つの金メダルに輝く29歳の孫は、2018年9月にドーピング検査官が自宅に訪れた際に検体を金づちで破壊したとして処分を受けた。しかし、裁定者の一人に偏見があったとして、昨年スイス連邦裁判所から審理が差し戻されていた。

 1500メートル自由形の世界記録保持者である孫は当初、2020年2月に資格停止処分を科されていた。しかしながら孫の代理人は、CASの裁定責任者でイタリア出身のフランコ・フラティニ(Franco Frattini)氏が、裁定の前に人種差別的な内容の反中国ツイートを投稿していたと主張し、スイス連邦裁がこれを認めた。

 CASは発表文で、「2020年12月22日に行われたスイス連邦裁の決定を受け、前の裁定責任者が解任された。他の裁定委員も辞任し、全て新しい委員が任命された」と述べた。聴聞会が終わり次第、委員会は審議を開始して裁定を下すことになっており、その発表は後日に予定されているという。(c)AFP