【5月8日 AFP】韓国の首都ソウルの富裕地区・江南(Gangnam)にある新築の10階建てビルの中で、世界トップクラスのeスポーツ団体「T1(ティーワン)」のプロと駆け出しの選手約70人が訓練している。米スポーツ用品大手ナイキ(Nike)がスポンサーを務めるジム、栄養士を含むサポートスタッフ、英会話レッスンなど、ここには何でもそろっている。

 選手らが目指すのは、同門のスーパースター、イ・サンヒョク(Lee Sang-hyeok)さん(24)だ。世界で大人気のオンライン対戦ゲーム「リーグ・オブ・レジェンド(League of Legends)」の大会を席巻し、「フェイカー(Faker)」の異名で知られる。

 爆発的な成長を続けるeスポーツは、プロスポツとしての地位を急速に固め、増大し続ける若いファン層は、スポンサーや広告主にとって魅力だ。

 20代が主力で、10代も交じるeスポーツ選手には、伝統的なスポーツ競技のスターに劣らない数のファンが世界中から集まり、トップクラスであれば給与や賞金で数百万ドル(数億円)を稼ぎ出す。

 T1最高執行責任者(COO)のジョン・キム(John Kim)氏はT1について、「ジムやカフェテリアがあり、シェフもいる」と説明。「若い選手が最高のパフォーマンスをするために必要な全てがそろっている」と語った。

 ルーティンは過酷だ。選手らは、コーチとトレーナーと共に毎日約10時間、次の試合に向けて戦略を練り、技を磨く。

「趣味でゲームをしていた頃は、おなかがすけば何か食べ、眠くなれば寝ていた。でも今は決まったスケジュール通りに行動している」と語るチェ・エリム(Choi Ellim)さん。2019年にはフェイカーと並んでT1のロースター(出場登録選手枠)のトップの一人に選ばれた。

 選手は、ユーチューブ(YouTube)やゲーム専用ライブストリーミング配信プラットフォームのツイッチ(Twitch)などを通じて、毎月一定の時間以上、ミレニアル世代やZ世代のファンと交流もしなければならない。