【3月31日 People’s Daily】中国で先ごろ、国家重点保護の対象となる野生動物の新しいリストが発表された。長江スナメリ(小型のイルカ)は保護のレベルが国家2級から国家1級に格上げされた。この情報が流れると、全国政治協商会議(政協)の委員で、中国科学院水生生物研究所研究員の徐旭東(Xu Xudong)氏は喜びを隠せなかった。

 長江スナメリの生息状況は長江の生態系が健全かどうかを示す指標だ。数年前から長江の生態系に衰えが見えていた。徐氏はこれに注目、調査・研究を続けた。全国人民代表大会(全人代、国会に相当)や政協では数年前から毎年、「長江スナメリの保護レベルを国家2級から1級に引き上げるべきだ」などの提案をしてきた。長江スナメリを守ることは、長江を守ることだ。健全な長江の生態系を守るには、きれいな水が流れ続けるだけでなく、生物が繁栄することも必要だ。徐氏はそう考えている。

 2021年1月1日、長江流域の重点水域で10年間の禁漁措置が全面的に実施され、3月1日には長江保護法が正式に施行された。徐氏は一連の措置により長江スナメリも保護されるだろうと確信した。

 政協の委員で、寧夏回族自治区(Ningxia Hui Autonomous Region)の国有林種苗活動総合センターでセンター長を務めた趙慶豊(Zhao Qingfeng)さんは黄河に強い関心がある。「私は黄河のそばで育った。黄河には特別な感情がある」と趙さん。黄河は中華民族にとって母のような存在であり、大切にしなければならないという。

 寧夏は近年、黄河流域で耕地を湿地に戻す活動を繰り広げている。青銅峡ダム地区にある三趟墩村では1万500ムー(約7万アール)の耕地を湿地に戻したあと、村民たちは1ムー(約6.7アール)あたり300元(約5000円)の補助金で環境配慮型の農業を発展させ、7000ムー(約4万7000アール)の有機栽培のリンゴ園を設けた。

「生態保護はシステム工学であり、人と自然の関係を正しく処理しなければならない」。趙さんは今年の全人代や政協では、重要な生態系の保護、修復を引き続き実施するよう提案した。 

 近年、中国の海や川、湖沼の水質は改善している。2020年、1940か所の調査で、水質が優良(Ⅰ~Ⅲ類)だったのは全体の83.4%で、1年前より8.5ポイント上昇した。一方、劣Ⅴ類(重度汚染)の比率は2.8ポイント下がって0.6%になった。(c)People’s Daily/AFPBB News