【3月29日 People’s Daily】有人宇宙ステーション計画に向けた運搬ロケット「長征5号B」と「長征8号」の打ち上げ成功、月面探査機「嫦娥5号」が月面から岩石や土壌などを持ち帰る「サンプルリターン」を実現、衛星測位システム「北斗3号」の全面稼働、火星探査機「天問1号」の打ち上げ成功…。2020年の中国の宇宙事業は大きな進展を遂げた。中国の宇宙開発を担う国有企業・中国宇宙科学技術集団は「中国宇宙科学技術活動青書2020」を発表し、2020年の業績を振り返り、2021年の宇宙計画を明らかにした。

 青書によると、2020年は全世界で114回の打ち上げが行われ、過去最高の計1277機の宇宙船が打ち上げられた。このうち中国は39回を打ち上げ、89機の宇宙船を打ち上げた。総重量は前年比29.3%増の103トンで新記録を達成した。打ち上げ回数と平均搭載量は世界第2位となっている。2021年は中国の打ち上げ回数は初めて40回を超える見込みだ。

 2021年の中国の宇宙事業にとってのハイライトは、宇宙ステーションのコアモジュールの打ち上げだ。この春に海南省(Hainan)文昌市(Wenchang)の文昌衛星発射センターから運搬ロケット「長城5号遥」にモジュールを搭載して打ち上げる。中国宇宙科学技術集団宇宙飛行部の林益明(Li Yiming)部長は「2021年と2022年に計11回の打ち上げを行う。宇宙ステーションのモジュールを3回、貨物宇宙船を4回、そして有人宇宙船を4回打ち上げ、2022年のうちに宇宙ステーションの建設を完了する」と述べた。

 中国有人宇宙事業の主任設計士、周建平(Zhou Jianping)氏は「私たちは中国で初めて世界最先端レベルの有人宇宙ステーションを建設し、大規模な研究を行う。科学探査のフロンティア分野と宇宙技術の発展に大きな役割を果たすだろう」と語っている。

「天問1号」の火星着陸も、2021年の中国宇宙事業にとって大きな柱となる。中国初の火星探査機の天問1号は今年2月に火星の周回軌道飛行に成功しており、約3か月間の探査の末、5月か6月に着陸する計画だ。

 また、地球環境や資源、通信、気象の分野のインフラデータ促進のため、地球観測衛星「高分5号02星」、海洋観測衛星「海洋2号D」、通信衛星「中星9B」、気象衛星「風雲3号05星」を打ち上げる。中国宇宙科学技術集団は商業目的の打ち上げも7回程度計画している。(c)People’s Daily/AFPBB News