【3月27日 AFP】イングランド・プレミアリーグは26日、選手の健康リスクへの懸念が高まっている中で、来季からプロ選手がトレーニングでヘディングする際のガイドラインを設ける方針を明らかにした。同国では昨年から、U-18の選手に対して練習中のヘディングが制限されている。

 これまでにも研究者の間では、長期にわたる脳疾患のリスクを削減するために、シニアレベルのトレーニングでもヘディングの量を減らすべきとの声が上がっていた。2019年にスコットランドで行われた研究では、元プロサッカー選手が脳の変性疾患で亡くなる確率は、一般の人と比較して3.5倍であることが判明した。

 最近では、1966年のサッカーW杯(World Cup)で母国優勝を飾った元イングランド代表のボビー・チャールトン(Bobby Charlton)氏が認知症と診断されていたことが発覚。また、同代表のチームメートだったノビー・スタイルズ(Nobby Stiles)氏、チャールトン氏の兄ジャック(Jack Charlton)氏、マーティン・ピータース(Martin Peters)氏、そしてレイ・ウィルソン(Ray Wilson)氏は、死亡時に認知症を患っていた。

 プレミアリーグは、ヘディングの強度を確認するために二つの研究を立ち上げたことを公表し、「これらの研究結果によって、プロおよび大人(アマチュア)レベルのサッカー選手がトレーニングでヘディングする際のガイドラインがもたらされるだろう。これは2021-22シーズンに先駆けて実施される」と発表文で述べた。

 このガイドラインは、各クラブをはじめ選手や医師と協議の上で、プレミアリーグやイングランドサッカー協会(FA)などの統括団体が承認することになっている。

 一つ目の研究にはリバプール(Liverpool FC)のU-23およびU-18と女子チーム、さらにはマンチェスター・シティ(Manchester City)のU-18と女子チームが参加することになっており、選手たちにはセンサー付きのマウスピースが与えられ、衝撃度に関するデータが集められる。また、これまではほとんど調べられてこなかった男女間におけるヘディングの衝撃度の違いも、これで検証されるという。

 二つ目の計画では、マウスガードを使った研究結果と2019-20シーズンに行われた試合の追跡データを比べることになっている。(c)AFP