【3月26日 東方新報】外出先からペットとコミュニケーションを取るリモートカメラ、ペットと遊びながら運動させるロボット、体調データを計測するスマートトイレ、そしてトイレの世話や病気の心配がないペットロボット…。ペット市場にデジタル化・スマート化の波が訪れている。その中でも急拡大しているのが中国市場だ。

 中国ペット産業白書によると、中国のペット市場は2019年に2024億元(約3兆3823億円)に達した。前年比18.5ポイント増という急激な伸びだ。内訳はペットフードが6割を占めるが、スマート用品に対するニーズが高まってきている。「2021年に中国で最も成長する新消費企業100」というリポートでは、スマートフォンアプリと連動した給水器などIoT(モノのインターネット)製品を開発している小佩寵物(PETKIT)や、ネコ用品を通してブランドイメージを確立したピダン(pidan)など、ペット関連企業11社が名を連ねた。

 国際的市場調査会社トランスパレンシーマーケットリサーチ(Transparensy Market Research)は、2024年にはペット用電子機器の世界市場のうち中国のシェアが20%を超えると推定している。

 2019年に中国で飼育されている犬・猫は9915万匹に上る。それでも米国で70%の家庭がペットを飼っているのに対し、中国は20%未満にとどまっている。市民の消費力は年々向上しており、「豊かさ」の象徴としてペットを飼い、スマート用品を購入する人々も増えていくことが予想される。

 また、急激な経済成長やライフスタイルの変化により、結婚していない一人暮らしの若者や、「空き巣家庭」と呼ばれる老夫婦だけの世帯が年々増え、ペットのニーズは高まる一方だ。「996(朝9時から午後9時までの勤務が週6日続く)」と言われる過酷労働が続く若者は、ペット用カメラのビデオ通話機能で自宅のペットに職場から声をかけたり、ペットの鳴き声を聞いたりして心の支えとしている。一人っ子の子どもが独立した老夫婦の家庭では、手間がいらないペットロボットを購入して日々の喜びとしている。「豊かさ」と「寂しさ」を原動力にスマートペット市場は今後も成長を続けそうだ。(c)東方新報/AFPBB News