【3月28日 東方新報】コロナ禍が続く中、PCR検査を受けて問題が無かったとする偽造の陰性証明書を使う事件が中国で起きている。

 上海市では今月、陰性証明書を偽造、販売していた許容疑者が逮捕された。きっかけは1月、インターネット犯罪を取り締まる警察官がネットパトロール中、偽物の陰性証明書を提示していた男を発見したことだった。警察は男を呼び出して事情聴取。男は医療機器の販売に従事しており陰性を証明する必要があったが、「PCR検査を受けるのが面倒くさい」と思い、ネットで見つけた偽造証明書を購入したという。男は10日間の行政拘留処分を受け、捜査を継続した結果、許容疑者が割り出された。

 許容疑者は以前から、就職に必要な健康診断書や会社を休むための病気の診断書を偽造する裏ビジネスをしていた。そして昨年11月、春節(旧正月、Lunar New Year)に向けて陰性証明書を求めるニーズが高まると考えた。春節は多くの労働者や学生が帰省するシーズンだが、中国では省・自治区・直轄市をまたぐ移動でも陰性証明書が必要とされることが多い。これを「ビジネスチャンス」ととらえ、偽造に乗り出した。インターネットで本物の陰性証明書をスキャンし、依頼人の名前に入れ替えていたという。

 許容疑者の携帯電話の記録によると、春節で移動しようとする多くの「客」と実際に連絡を取っていた。警察によると、偽造証明書の購入者のうち、実際に陽性だった人はいなかった。

 福建省(Fujian)南安市(Nanan)では、偽造した陰性証明書を公安局に示した男が12日間の行政拘留を受けた。男は1月28日から省外へ用事で出向き、2月4日に戻ってきた。省をまたぐ移動をした場合、1週間以内にPCR検査を受けたことを地元の公安局に報告する義務がある。男は公安局に陰性証明書を提示したが、省外にいるはずの「2月1日」の日付で、地元の南安市で検査を受けたことになっていた。男は「昨年10月、南安市で受けたPCR検査の証明書を偽造した」と供述している。

 陰性証明書の偽造は世界の各地で報告され、国際的なブラックマーケットも存在すると指摘されている。中国では特に厳格なコロナ対策が実施されており、長期のコロナ禍に疲れた市民が「PCR検査を受けるのが面倒」という思いから、ニセ証明書に手を出してしまっているようだ。(c)東方新報/AFPBB News