【3月19日 AFP】フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)の主催者は18日、12月に初開催されるサウジアラビアGP(Saudi Arabian Grand Prix 2021)のコースレイアウトを発表した。紅海(Red Sea)沿岸の都市ジッダ(Jeddah)に設置されたサーキットは、市街地コースとしては史上最速となる平均時速250キロ、全長は今季のカレンダーで2番目に長い6.175キロメートルになるとされている。

 F1は計23レースが行われる2021年シーズンの第22戦サウジアラビアGPについて、「F1史上最速のストリートトラックーそれが12月5日にジッダで初開催されるサウジアラビアGPにおいて、ドライバーたちが位置について挑むものだ」と紹介した。また、ナイトレース用に投光照明がつけられたこのサーキットは、計27か所にコーナーが設けられているという。

 F1のマネジング・ディレクターを務めるロス・ブラウン(Ross Brawn)氏は、「そのデザインは近代のストリートサーキットで最高のものであるだけでなく、速いペースで自由に流れるようなエリアが、最速スピードとオーバーテークの機会をつくり出すだろう」と話し、「紅海に面した素晴らしい環境で、12月にこのトラックでマシンを見ることが待ちきれない」と期待を寄せた。

 その一方で、F1はバーレーンGP(Bahrain Grand Prix)に加えてサウジアラビアでレースを開催することで厳しい監視下に置かれており、人権監視団体からの批判がエスカレートすることが確実視されている。

 同国はすでにボクシングやゴルフ、そしてテニスなどの競技に加え、モータースポーツではアラビア砂漠(Arabian Desert)で12日間にわたって行われるダカールラリー(Dakar Rally)や、電気自動車で争うフォーミュラE(Formula E)を開催している。

 事実上の国家指導者であるムハンマド・ビン・サルマン皇太子(Crown Prince Mohammed bin Salman)が進めている「ビジョン2030(Vision 2030)」の下で、サウジアラビアは以前よりも穏健的であることをアピールし、人権侵害や強硬的なイデオロギー政策など対外的な悪名を取り除こうとしている。

 しかしながら、アルコール禁止や性差別で有名な同国の改革キャンペーンは、スポーツを利用して人権侵害から目をそらす「スポーツウオッシング」であると、人権団体から厳しい批判にさらされている。(c)AFP