【3月17日 AFP】スイスのIQエア(IQAir)グループは16日、新型コロナウイルス流行によるロックダウン(都市封鎖)にもかかわらず、昨年多くの国で微小粒子状物質(PM2.5)の濃度が世界保健機関(WHO)の基準値を上回ったとする報告書を発表した。

 これによると、2020年は新型コロナ対策のロックダウンで、各地の輸送機関や工場が数か月にわたり一部、あるいは完全に停止し、大都市を含めた世界全体でPM2.5の平均濃度は一時減少した。

 前年比で英ロンドンや韓国ソウルで16%、印ニューデリーで15%、米シカゴで13%、中国・北京で11%下がった。

 また、大気汚染が深刻な都市の3分の2が集中しているインドは、大気汚染が前年比では6割の都市、2018年比では全都市で改善された。

 報告書の共同執筆者であるフィンランドの研究機関「センター・フォー・リサーチ・オン・エナジー・アンド・クリーンエア(CREA)」の主席アナリスト、ラウリ・ミリビルタ(Lauri Myllyvirta)氏は、「多くの都市でこれまでにない大気汚染の改善が見られたが、短期間だった」と述べた。

 一方、2020年のPM2.5の平均濃度が高かった上位の国はバングラデシュ、パキスタン、インド、モンゴル、アフガニスタンで、年間平均値は1立方メートル当たり77~47マイクログラムだった。

 都市別では、1位が印ニューデリーで84マイクログラム、2位がバングラデシュ・ダッカの77マイクログラムで、以下インドネシア・ジャカルタ、ネパール・カトマンズ、パキスタン・イスラマバード、ベトナム・ハノイ、中国・北京がトップ20に入った。また欧州の都市の半数以上はWHOの基準を超えていた。

 国連(UN)は、PM2.5の濃度について、1日平均で1立方メートル当たり25マイクログラム、年平均で同10マイクログラムを超えてはならないとしている。(c)AFP/Marlowe HOOD