【3月9日 AFP】インターネット金融大手SBIホールディングス(SBI Holdings)の北尾吉孝(Yoshitaka Kitao)社長は、8日付の英紙に掲載されたインタビューで、中国による香港弾圧に日本の金融機関は「戦々恐々」としており、残留の是非を再考しているとの見方を示した。業界内部から懸念が表明されるのはまれ。

 北尾社長はフィナンシャル・タイムズ(FT)紙の取材に対し、「自由なくして金融活動なし」と訴え、自社事業の香港撤退を計画していると明かした。

 さらに北尾氏は、他社も同じ選択を検討しているものの、進んで公言はしないと指摘。「(他社は)私とは違う。私は非常に率直な人間だ。他社はどこも腹の内では、撤退すべき、あるいは香港にはこれ以上投資するまいと考えている」と述べた。

 SBIホールディングス広報は、社長の発言は認めた一方で、自社の香港撤退については「依然検討段階にあり、既に決まった具体的な計画はない」と説明した。

 北尾社長の発言が、中国政府に歓迎されるとは考えにくい。中国指導部はこれまでにも、国際企業に対して香港の統制強化への支持を求めており、これに応じなければ香港市場からの締め出しも辞さない構えを示している。(c)AFP