【3月6日 AFP】国際自動車連盟(FIA)は5日、昨年のフォーミュラワン(F1、F1世界選手権)第15戦バーレーンGP(Bahrain Grand Prix 2020)決勝で、当時ハース(Haas F1 Team)に所属していたロマン・グロージャン(Romain Grosjean)が遭遇した大事故の調査結果を発表した。FIAのジャン・トッド(Jean Todt)会長は、この事故で与えられた重要な教訓が、「F1とモータースポーツの安全性を向上させるという、われわれの任務を促進させる」と述べた。

 フランス人ドライバーのグロージャンは、バーレーン・インターナショナル・サーキット(Bahrain International Circuit)で行われた昨年11月29日の決勝レースで、1周目に時速220キロの高速でバリアーに衝突してマシンが炎に包まれたが、辛うじて死を免れた。乗っていたマシンは、わずか28秒間で破壊された。

 報告書によるとグロージャンは、マシンがバリアーに突き刺さってコックピットがねじ曲がり、エンジンからのデブリで逃げ道がふさがれ、燃料に引火する中、左脚が挟まった状態となったが、それでも27秒間で脱出することができたとされており、「ドライバーは挟まった状態のブーツから足を引き抜き、ヘッドレストとステアリングホイールを取り外して車外に脱出した」という。

 また、この事故では、「シャシー左側にある燃料タンクの点検ハッチが外れ、エンジン燃料供給接続部が燃料タンクの『安全袋』から引きちぎられており、その両方が燃料漏れの最初の道をつくり出した」ことが判明したとされている。

 しかしFIAはグロージャンが67Gの力でバリアーに激突した際に、ヘルメットや頭部・頸部(けいぶ)支持システム(HANS)、セーフティーハーネス(安全ベルト)、頭部保護システム「Halo」、そしてコックピットの「サバイバルセル」などのドライバーの安全装置が「生存スペースを確保し、Gフォースを抑える上で、仕様通りに機能していた」と結論づけた。

 FIAはまた、安全バリアーの改良についても調査を行っていくとしている。(c)AFP