【3月13日 AFP】米フロリダ州マイアミでは、海水面の上昇が現実の問題となっており、頻発する洪水によってすでに住民の日常生活に影響が出ている。この事態に対処するために当局は、数十億ドル(数千億円)規模の投資を行う計画だ。

 同州マイアミデード(Miami-Dade)郡のダニエラ・レビンカーバ(Daniella Levine-Cava)郡長は2月26日、海水面の上昇で最大の打撃を受ける地域社会を保護する方針を表明した。海面上昇によって浜辺が侵食されることで、住民はハリケーンシーズンに発生する洪水の影響を特に受けやすくなる。

 レビンカーバ郡長は、検討すべき最優先事項として「適応行動領域」を挙げた。この中には、海抜の低い場所にある道路のかさ上げや、フロリダ州南部で広く使用されている汚水処理タンクの防水措置や下水道システムへの転換などが含まれる見通しだ。

 マイアミデード郡にあるマイアミビーチ(Miami Beach)市は2016年、数百万ドル(数億円)を投じて市道の多くのかさ上げ工事を実施した。

 米環境保護局(EPA)によると、海水面は今後100年間で30~120センチ上昇する恐れがあるという。

■海に浮かぶ水上住宅も登場

 一部の実業家らも、海面上昇をめぐる困難な事態に対応するため、費用はかかるかもしれないが独創的な方法を提案している。その一例が、ビスケーン湾(Biscayne Bay)周辺の他の地域にも出現しているハウスボートだ。マイアミ港近くに停泊しているハウスボートを、住民らは見慣れている。

 価格550万ドル(約5億9000万円)のハウスボートは、海面上昇に適応している。「家のように見えますが、厳密に言えば船です」と説明するのは、マイアミを拠点とする水上住宅メーカー「アーカップ(Arkup)」の共同創業者兼代表取締役、ニコラス・デルイン(Nicolas Derouin)氏だ。

 海上に張り出すテラスを備えた同社開発のハウスボートは、4本の油圧式支柱で海底に固定されており、安定した状態を保つことができる。屋根には太陽電池パネルが敷き詰められている。(c)AFP/Leila MACOR