【2月23日 AFP】韓国でイランのオイルマネー数十億ドルが凍結されている問題で、韓国政府は23日、凍結解除に向け両国が合意に至ったと発表した。一方で、その実現には米国の承認を要することも示唆した。

 イランは先月、韓国船籍のタンカーをペルシャ湾(Persian Gulf)で拿捕(だほ)。その理由を「海洋環境法に繰り返し違反した」ためと説明していた。

 これ以前にイランは韓国に対し、核開発計画をめぐる米国の制裁下で凍結されたイラン資金の凍結解除を求めていたが、この問題とタンカー拿捕との関係は一切ないと否定していた。

 韓国外務省は23日、イランの中央銀行総裁と駐テヘラン韓国大使が合意に至ったと発表。韓国側がイランに対し、凍結中の資金を新型コロナウイルスワクチンの購入や国連(UN)でのイランの負債の返済に充てることを提案し、イランがこれに合意したという。

 一方で同省は「資金凍結を実際に解除するには、米国をはじめ当事者らとの協議を経る必要があるだろう」と説明。核関連交渉が行き詰まる中で、イランが先に行動を起こすべきだと主張する米国が、資金移転に関して事実上の拒否権を有することを示唆した。

 今回の合意についてイラン側は、中央銀行総裁の話として、韓国の銀行への賠償請求を継続すると表明。同総裁は「韓国側はこの負の記録を消し去るために、多大なる努力を要する」と指摘している。

 資源に乏しい韓国にとって、米国による輸入阻止を受けるまで、イランは重要な石油の輸入元だった。イラン政府報道官は、韓国で凍結されている資金は70億ドル(約7400億円)に上るとしている。(c)AFP