【2月23日 AFP】アフリカ南部の小国エスワティニ(旧スワジランド)の国王は19日、先月に新型コロナウイルスに感染したものの、台湾から受け取った抗ウイルス薬により回復したと明らかにした。

 アフリカ最後の絶対王制国家であるエスワティニは、アフリカ大陸で唯一、中国の圧力に屈せず台湾との外交関係を維持している。

 ムスワティ3世(Mswati III、52)は19日の議会演説で、台湾の蔡英文(Tsai Ing-wen)総統に感謝するとともに、政府は国民のためにこの薬を直ちに調達するつもりだと明らかにした。ただ、点滴して投与するというこの薬の名前は公表しなかった。

 エスワティニは、新型コロナウイルスの流行第2波への対応を迫られているが、ワクチン第1弾はまだ届いていない。英国は先月、エスワティニの医療体制強化のため、医師と専門家から成る緊急支援チームを派遣した。

 ムスワティ3世は、「わが国はワクチンの到着を待っているところだが、抗ウイルス薬を使った治療があるということを共有したい」と述べ、「私は今年1月の第1週に新型コロナウイルスの検査を受け、数日間陽性反応を示した後、この薬を見つけた」と説明した。

 ムスワティ3世はこれまで、新型コロナウイルスへの感染を公表していなかった。

 国王によると、この薬によって、入院したことを公表する前に回復することができたという。国王は、「素晴らしい効果だ」とほめ、「エスワティニ国民は、陽性が確認され次第、この薬を使うべきだ」と主張した。

 人口120万人のエスワティニでの新型コロナウイルス感染者数は1万6700人を超え、死者数は少なくとも640人に上っている。

 アンブロセ・ドラミニ(Ambrose Dlamini)首相も感染し、隣国の南アフリカで4週間治療を受けたが、昨年12月に死去した。(c)AFP