【2月8日 AFP】(更新)英製薬大手アストラゼネカ(AstraZeneca)と英オックスフォード大学(University of Oxford)が共同開発した新型コロナウイルスワクチンについて、南アフリカで見つかった変異株による軽症~中等症の症状を防ぐ効果は低いとの臨床試験結果が7日、明らかになった。これを受けて南ア政府は、数日以内に開始を予定していた同ワクチンの接種プログラムを一時中止すると発表した。

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 試験を行ったヨハネスブルクにあるウィトウォーターズランド大学(University of the Witwatersrand)は、アストラゼネカ製ワクチンには南ア変異株による「軽症~中等症の新型コロナウイルス感染に対して、最小限の予防効果しか認められなかった」と発表した。

 ただ、8日に公表される予定の論文では、試験対象者2000人のうち重症化した人はいなかったとアストラゼネカは述べている。これは、判断を確定するだけのデータはまだそろってはいないものの、ワクチンに重症化を防ぐ効果がある可能性を示している。

 論文によると、今回の研究は低リスクの集団が対象だったため、中等症~重症の症状や入院が必要な患者、死亡リスクに対する予防効果は評価できなかったという。

 一方、査読前のデータからは「南ア変異株が、ワクチンを接種した集団内で継続的な感染を引き起こし得るという理論的観察が確認できたように思われる」と論文は指摘している。

 オックスフォード・ワクチン・グループ(Oxford Vaccine Group)と共にアストラゼネカ製ワクチンの開発を率いたサラ・ギルバート(Sarah Gilbert)教授は、「発症件数を減らすことにはならないかもしれないが、死亡や入院、重症化を防ぐ効果があることには変わりない」と英BBCに語った。

 アストラゼネカの広報担当者はAFPに対し、研究チームがワクチンの改良に取り組んでいると説明。南ア変異株に対応したワクチンの開発にすでに取り組んでおり、秋には準備が整う「可能性が非常に高い」と述べた。(c)AFP/James PHEBY/Claire Doyen