【2月5日 AFP】(更新)世界貿易機関(WTO)の次期事務局長選に立候補していた韓国の兪明希(ユ・ミョンヒ、Yoo Myung-hee)通商交渉本部長が5日、立候補を辞退した。韓国政府が発表した。これにより、ナイジェリアのヌゴジ・オコンジョイウェアラ(Ngozi Okonjo-Iweala)元財相が女性として、そしてアフリカ出身として初の事務局長となる道が開けた。

 韓国産業通商資源省は声明で、兪氏は自身の主な支持国だった米国をはじめ、主要各国と協議した結果、「立候補を辞退する判断に至った」と説明した。

 WTO事務局長の選出には、通常全会一致が必要となる。昨年任期途中で退任したロベルト・アゼベド(Roberto Azevedo)事務局長の後任選びは、主要国がオコンジョイウェアラ氏を推す一方、米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)前政権が同氏の任命に反対の立場を貫いていたことから、10月以降行き詰まっていた。

 韓国には、核を保有する北朝鮮からの防衛のため、防衛同盟国である米国の兵士2万8500人が駐留している。一部の専門家らからは、兪氏を事務局長選にとどめるよう、韓国が米国から圧力を受けているとの見方も出ていた。

 韓国側は、ジョー・バイデン(Joe Biden)米新大統領の就任から2週間で、兪氏の立候補を取り下げる判断をしたことになる。

 複数の貿易交渉が停滞し、米中間の緊張緩和を導けずにきたWTOに対しては、新型コロナウイルスの感染拡大以前から、改革の必要性が広く指摘されてきていた。(c)AFP