【1月28日 People’s Daily】中国雲南省(Yunnan)通海県(Tonghai)にある栽培区域では、整然とした畑が見渡す限り続く。

「ここ数年、私たちは野菜をタイやベトナムに売り、一番遠くでは中東にも輸出しています」と、大樹社区の共産党書記である趙思旺(Zhao Siwang)氏は誇らしげに語る。

 通海は野菜の生産基地と配送拠点で有名な土地で、近年は農業供給の構造改革を深く推し進め、品種改良や品質の向上、ブランドづくりやモジュラリゼーションを進めている。沿岸部でもなく国境沿いでもないにもかかわらず、通海の野菜は36%が国外に輸出されている。2020年、県内の農村住民の平均可処分所得は推定1万9615元(約31万円)に達し、2015年と比較して6980元(約11万円)増え、年に平均9.2%伸びている。

 大樹社区では1998年から野菜栽培が普及し始めたが、2016年までに趙思旺氏と村民たちは、伝統的な生産法では限界があると実感した。さらに発展していくためには、質と効率の良いやり方に狙いを定めて努力する必要があった。

 同区の野菜栽培区域では、粘着捕虫シートやソーラーエネルギーの誘蛾灯が目を引き、最新のスプリンクラーも設置してある。

「近年、基礎設備が完備されていき、エコ栽培や科学的栽培は野菜の品質をさらに上げて、競争力の核心となりました」と、趙さんは語る。「私たちの野菜作りは、品種の選定や有機肥料の使用から、畝間の距離、株と株の距離まで、すべて統一された基準と技術指導のもと行われます」と言う。

 通海県にある野菜生産専門企業の栽培基地では、ハイレベルな科学農法を導入している。気象観測・予報サービスや、土壌環境データ観測・分析など、野菜農家の程秀玲(Cheng Xiuling)さんがスマートフォンをオンにすると、基地の野菜の生育環境データが一目瞭然となる。

 程秀玲さんが入社したのは2019年のことである。そこで彼女は初めてスマート機能付き水やり・施肥一体型の機械に触れ、野菜用の温湿度映像コントロールシステムを使った。「入社してから、技術の基準や市場販売があるおかげで、安心して野菜を作ることができます」と、程さんは語る。

 同社の何来(He Lai)社長によれば、2020年5月に通海県で農業のIoT(モノのインターネット)ができ、野菜生産のスマート化を実現できたのだという。農産物の追跡もより全面的・精密にできるようになった。「今後は消費者がスマートフォンで野菜の生育状況を見ることができ、生産の全工程を可視化して追跡できるようにしようと思います」

 通海県の農産物加工会社の千切りダイコン加工作業場では、作業員が千切りダイコンの仕分けをしており、仕分けされたダイコンは包装されて韓国や日本に輸出される。

 これは社内随一のヒット商品で、1年の輸出額は800万ドル(約8億円)にのぼる。「ダイコンはキロ6角(約10円)程度ですが、加工すると、少なくとも3元(約48円)になります」と、同社の楊衛(Yang Wei)社長は言う。

 加工されたダイコンやキャベツなどの野菜は、まず鉄道で深圳(Shenzhen)に送られ、そこから海運で国外へと運ばれていく。「運送方式はどんどん進歩して速くなっており、野菜をさらに遠くへと運んでくれるのです」と、楊氏は語る。(c)People’s Daily/AFPBB News