【1月27日 AFP】欧州連合(EU)のウルズラ・フォンデアライエン(Ursula von der Leyen)欧州委員長は26日、世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)のオンライン会合で講演し、新型コロナウイルスのワクチンを製造している製薬企業は「責務を果たさなければいけない」と述べた。欧州委員会(European Commission)と製薬企業の間ではワクチン供給の遅れをめぐり緊張が高まっている。

 フォンデアライエン氏は「欧州は世界初の新型コロナウイルスワクチン開発支援として数十億(ユーロ、数千億円)を投資してきた」と指摘。「今度は各社が期待に応えなければいけない。責務を果たさなければいけない」と述べた。

 欧州委員会は、製薬大手の英アストラゼネカ(AstraZeneca)と米ファイザー(Pfizer)に対し、両社が発表したEUへのワクチン供給遅延についての説明を要求。さらに、製薬企業がワクチンをEU域外に輸出する際に当局への報告を義務付ける意向で、EUに割り当て済みのワクチンが高額購入を提示する域外の国に販売されている可能性への懸念が浮き彫りとなっている。

 講演でこの方針を発表したフォンデアライエン氏は、企業がEUとの契約上の義務を確実に履行するようにするための「ワクチン輸出の透明性メカニズムをつくる」と説明した。

 ファイザーは今月15日、ワクチン供給の遅延を発表。フォンデアライエン氏は先週、8月末までにEU域内の成人70%へのワクチン接種を目指すと表明していたが、その後アストラゼネカも供給の遅延を発表し、この目標は達成が危ぶまれている。(c)AFP