【1月24日 AFP】キプロスの女子クレー射撃選手、アンドリ・エレフセリウ(Andri Eleftheriou)が、性的暴行被害を警察に届け出たことで、同国が歴史的な性的スキャンダルに揺れている。

 キプロスでは被害者が名乗り出ることを恐れるケースが多いため、こうした告発はまれだったが、エレフセリウは前週、エミリー・イオリティス(Emily Yiolitis)法務相に促され、暴行を加えた人間の名前を警察に伝えることを決めた。

 警察はこの件の捜査を開始しており、射撃連盟のメンバーを含めたスポーツ関係者が取り調べに呼び出されている。

 エレフセリウの勇気をたたえ、国として、また個人として支えていくことを約束したイオリティス法相は「他の選手もこれをきっかけに名乗り出て、沈黙の連鎖を打ち砕き、こうした状況をつくってきた全てを是正しましょう」と話し、暴力に耐えてきた全ての女性に「恐れず」歩み出るよう呼びかけた。

 エレフセリウはクレー射撃のスキート種目で国内チャンピオンも経験している36歳。コモンウェルスゲームズ(Commonwealth Games、英連邦競技大会)では金メダルを獲得し、2008年の北京五輪にも出場した。

 2018年の時点で、2006年のコモンウェルスゲームズと北京五輪の際に立場が上の人間から性的暴行を受けたことを明かしていたが、真剣に受け止めてもらえなかった。それでも今回、イオリティス法相との話し合いを経て、正式に警察へ被害を届け出た。

 風向きが変わったのは、ギリシャの五輪金メダリストのセーリング選手、ソフィア・ベカトル(Sofia Bekatorou、43)が警察にレイプ被害を訴え出て、同国で複数のアスリートが性的暴行の被害を公表したことで、イオリティス法相はこれを受けてエレフセリウを招待し、話を聞いて相手の名前を警察に伝えるよう促した。

 エレフセリウは国営キプロス通信(Cyprus News Agency)に対して、各種スポーツ団体や法相がサポートの意思を示したことで、「警察へ正式に訴え出るのに必要な気持ちの強さが手に入った」とコメントしている。

「みんなにも勇気と力を振り絞って公表してほしい。こんなことは終わりにしないといけないし、罰を下さないといけない」

「正直に言えば、いろいろな話を聞いている。どれもまだ調査されていないものばかり。私の行動がきっかけになって、真実が明らかになり、汚い部分が掃除されればうれしい」 (c)AFP