【1月19日 AFP】国際アイスホッケー連盟(IIHF)は18日、今年5~6月に開催予定の男子世界選手権について、ベラルーシによる共同開催を取りやめると発表した。「増大する政情不安とCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の両方に関連し高まる保安上の懸念」を理由としている。

 世界選手権はベラルーシの首都ミンスクとラトビアの首都リガで開催される予定だった。IIHFはベラルーシの共催中止の決定について、「IIHFの制御が及ばない保安上の問題のため(中略)不可避」だったと説明した。

 旧ソ連構成国のベラルーシでは昨年8月の大統領選で、アレクサンドル・ルカシェンコ(Alexander Lukashenko)大統領が6選を果たしたと主張。以降、ルカシェンコ氏の26年に及ぶ強権統治に抗議するデモが各地で起き、警察により暴力的に鎮圧される事態となった。

 反体制派は選挙に不正があったとし、正当な勝者は当局に身柄を拘束された夫に代わって出馬したスベトラーナ・チハノフスカヤ(Svetlana Tikhanovskaya)氏だと主張している。チハノフスカヤ氏は選挙直後に隣国リトアニアへと逃れた。

 チハノフスカヤ氏はメッセージアプリ「テレグラム(Telegram)」で、IIHFの今回の決定は「勝利」だと歓迎。世界選手権に向けてデモ隊がさらに「弾圧」される恐れがなくなったと述べた。

 ベラルーシの世界選手権共催を厳しく批判してきたチェコのトマーシュ・ペトシーチェク(Tomas Petricek)外相は、IIHFの発表を受けツイッター(Twitter)に「民主主義1、ルカシェンコ0」と投稿した。

 IIHFは今後、ラトビアの共催国としての地位を吟味するとともに、新型ウイルス対策やチームの移動をスムーズにするために会場を1か所に限定する可能性も検討するとしている。(c)AFP/Coralie FEBVRE