全豪OPを「特別扱いしない」 当局が隔離緩和の訴えを拒絶
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【1月18日 AFP】テニスの四大大会(グランドスラム)今季初戦、全豪オープン(Australian Open Tennis Tournament 2021)を前に、多くの出場選手が新型コロナウイルス対策でホテルの部屋での隔離を強いられている。しかし州首相は18日、「特別扱いはしない」と選手からの不満を退け、外での練習は許可しない意向を改めて示した。
当初の予定より3週間遅れた2月8日に開幕する全豪オープンでは、選手と関係者向けのチャーター便のうち、3便から新型コロナの陽性者が見つかり、同乗していた選手合計72人は濃厚接触者とみなされて屋外での練習を2週間禁止された。
対象となった各選手は、窓や壁やひっくり返したベッドにボールを打ち、何とか全豪に向けてコンディションを整えようとしているが、中には現状に対する不満をSNSで訴える人もいる。
自身が搭乗したフライトから陽性者は出ず、外での練習ができる世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)も、テニスコートのある個人宅へ選手が移ることを許可してほしいなど、要望を記したリストを大会主催者に送ったと伝えられている。
しかし、ここまで国内での感染をおおむね抑え込み、全豪関係者から市民への感染を避けたいオーストラリアは、隔離措置の緩和を求める選手の訴えを退けた。
全豪の開催地メルボルンのあるビクトリア(Victoria)州のダニエル・アンドリュース(Daniel Andrews)州首相は、保健当局が選手のために規則を曲げることはないと話し、「ここでは特別扱いはしない。ウイルスが人間を特別扱いしないのだから、われわれも同じようにする」とコメントした。
オーストラリア国内では大会の開催自体が批判を浴びており、SNSでは、多くの国民が海外で立ち往生を強いられている中、スポーツ大会のために1000人を超す選手と関係者を入国させることが疑問視されている。
政府は昨年3月以降、国境を封鎖しており、以降は毎週決まった人数だけが帰国できることになっている。その帰国者も全員がホテルでの14日間の隔離を義務づけられているが、一方で陽性や濃厚接触者ではなかった大半の選手は、1日5時間までなら外での練習が認められている。
アンドリュース首相は、オーストラリアが厳しい隔離措置を敷いていることを選手はみな出立前に承知していたはずだと話している。
「ルールを変えたとか、説明がなかったとかいう意見もあるようだが、そうした主張は全くもって誠実さを欠くものだと考えている」 (c)AFP