【1月17日 AFP】ギリシャで前週、五輪で金メダルを獲得した女子セーリング選手が、協会幹部による性的暴行を明かしたことをきっかけに、他競技の元選手も被害を告白し、同国で今までほとんどなかったセクハラ告発運動「#MeToo(私も)」が起こり始めている。

 被害を明かしたのは、五輪で金メダルを含むメダル二つを獲得し、ギリシャでもとりわけ大きな成功を収めた五輪選手であるセーリングのソフィア・ベカトル(Sofia Bekatorou)。ベカトルは、14日に行われた政府後援の性的暴行に関するオンライン会議で、2000年シドニー五輪に向けた選考会のすぐ後、ホテルの部屋でセーリング連盟の幹部から「セクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)と性的暴行」を受けたと明かした。

 現在43歳で、2人の子どもをもうけているベカトルは当時21歳で、競技を続けるために口をつぐむことを決めたが、その人物は今も協会の「権力ある役職」に居座っているという。ベカトルは「当時はもちろんスポーツ心理学者のつてもなかったし、セーリングをやめなさいと言われるのが分かっていたから、両親にも言わなかった」と話している。

 その後の16日、セーリング連盟ではベカトルへの連帯の意志を示すため、メンバー1人が辞任した。さらにこの件がSNSで大きな話題になる中で、別のアスリートも声を上げ始め、2人の元選手が医師から数十年前に似たことをされたと申し出た。

 元水球選手のマニア・ビコフ(Mania Bikof)さんは、医師が肩のけがを診る際に水着を腰まで下ろされたと話した。元競泳選手のラベア・イアトリドゥー(Rabea Iatridou)さんも体をまさぐられたことがあると明かした。

 同国のキリアコス・ミツォタキス(Kyriakos Mitsotakis)首相は、フェイスブック(Facebook)でベカトルに「寄り添う」と記し、他にも被害に遭った選手がいれば訴え出てほしいと呼びかけた。首相は「今こそ、権力のある者から弱い立場の人間へのこうした暴力を根絶すべき時だ」としている。

 ベカトルはギリシャでも有数の実績を残した五輪選手で、2004年のアテネ五輪で金メダル、4年後の北京五輪で銅メダルを獲得している。(c)AFP/John HADOULIS