【1月10日 AFP】米民主党は9日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の罷免を求める弾劾訴追決議案を提出する方針を固めた。連邦議会議事堂の占拠事件以降、トランプ氏は辞任の意思を示していない。

 民主党は早ければ11日に弾劾決議案を提出する。従来であれば数週間かかる手続きが異例の早さで進められることになるが、ジョー・バイデン(Joe Biden)氏が大統領に就任する今月20日までに完了するかは未知数だ。

 ナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)下院議長は、トランプ氏が辞任するか、あるいはマイク・ペンス(Mike Pence)副大統領が合衆国憲法修正25条を発動させてトランプ氏を免職させない限り、民主党は弾劾手続きを開始すると明言している。

 ペロシ氏は8日、トランプ氏について「取り乱しており、不安定で危険。辞めるべきだ」とツイッター(Twitter)に投稿した。

 テッド・リュウ(Ted Lieu)下院議員によると、弾劾決議の草案にはこれまでに少なくとも180人の下院議員が署名している。

 複数の民主党議員のほか、共和党からもリサ・マカウスキ(Lisa Murkowski)上院議員(アラスカ州選出)がトランプ氏に対し、辞任して任期終盤での弾劾手続きを避けるよう求めている。ただ、トランプ氏は強気の立場を崩していないと報じられている。

 2019年の弾劾手続きと同様、トランプ氏の罷免を決めるには下院で過半数の賛成により弾劾訴追を決議し、上院の弾劾裁判で出席議員の3分の2以上の賛成が必要だ。2019年の手続きでは、下院で弾劾訴追が可決されたものの、上院の弾劾裁判では有罪に至らなかった。

 共和党にも6日の議会占拠に嫌悪感を示す議員が複数いるものの、議席数が拮抗(きっこう)している上院で3分の2以上の賛成票を得るのは困難とみられる。

 一方でバイデン氏は、トランプ氏弾劾に関する記者の質問に「議会で決められることは議員が決めることだ」と述べた。(c)AFP/Brian KNOWLTON