【1月9日 AFP】少なくとも6人の現役・元選手から性的暴行で告訴されていたフランスの元フィギュアスケート指導者ジル・ベイヤー(Gilles Beyer)氏について、当局が予審開始を決定した。司法筋が8日、明らかにした。

 世界フィギュアスケート選手権(ISU World Figure Skating Championships)の元メダリストであるサラ・アビトボル(Sarah Abitbol)さんが著書で告発したのを発端に、ベイヤー氏は昨年仏フィギュアスケート界を揺るがせたスキャンダルの中心人物となっている。

 アビトボルさんは著書の中で、15歳から17歳だった1990年初頭に当時コーチだったベイヤー氏から性的暴行を繰り返し受けたと告白。この本がきっかけで、他にも数人のスケーターが被害を名乗り出た。

 昨年1月のAFPの取材で、ベイヤー氏はアビトボルさんと「親密な関係」を持ったことを明かし、「不適切」だったと認めた上で、謝罪の言葉を口にした。

 一連の告発を受け、パリの当局は同年2月、とりわけ他の被害者を特定する目的で予備捜査を開始した。

 ベイヤー氏は6日午前に身柄を拘束されたが、権力を持つ者による「性的暴行」と「セクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)」の容疑で予審開始が決まった8日に保釈された。同氏の弁護人は同日、AFPの取材に対してコメントを避けた。

 情報筋によると、アビトボルさんを含めて事件当時に未成年だった女性数人のケースに関しては、公訴時効で処理できなかった。被害当時に成年に達していた女性6人を含む最近のケースだけが、責任を問うことが可能で、うち3人がベイヤー氏の性的暴行を訴えている。(c)AFP