【12月28日 AFP】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の猛威が収まらない中、2021年のスポーツ界は、コロナ禍で吹き飛んだ今年の大会を詰め込んだ忙しい一年になる。その中心が、延期になった東京五輪だ。

 大会名称は東京2020のまま、翌年に延期された東京五輪については、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(Tokyo Organising Committee of the Olympic and Paralympic Games)と政府が膨らむ一方の経費と格闘しつつ、ワクチンが間に合う可能性もにらみながら、訪日客を受け入れるのか、観客や出場者向けにどんな対策や制限を講じるべきかを検討している。

 組織委員会は今月、前例のない延期と新型ウイルス対策の導入で、少なくとも2940億円の追加経費が必要になり、すでに1兆3000億円以上に達していた総経費がさらに膨らむ見通しを発表した。国内では五輪に向けた盛り上がりがしぼんだ感があり、7月の世論調査では、2021年夏に開催すべきと答えた人は4分の1ほどしかおらず、大半は再延期か中止を求めているという結果が出た。

 組織委は優待チケットの削減や開会式の規模縮小、マスコットや横断幕、食事の準備にかかる費用を減らしたが、削減できたのはわずか300億円にとどまる。組織委の武藤敏郎(Toshiro Muto)事務局長は、費用について「高いと見るのかどうかはいろいろな見方がある」と発言し、「簡素化はする一方、お祭り騒ぎをやめよう」と考えており、スポーツの力を通じて人々を勇気づける感動的な大会にしたいと語った。

 新型ウイルスの感染拡大が収まらない中で、組織委は2021年開催への強い意欲を見せている。ワールドアスレティックス(World Athletics、世界陸連)のセバスチャン・コー(Sebastian Coe)会長も今月、「五輪は行われると思う」「現時点で誰にとってもはっきりとしていないのは、スタジアムに活気があり、熱狂的な素晴らしいファンを入れられるかどうかだ」と話した。

 もう一つ、現時点で開催可否や方式の再検討を表明していない大規模大会が、こちらも新型ウイルスの影響で2020年夏から1年延期となったサッカーの欧州選手権(UEFA Euro 2020)だ。こちらも名称は元のまま、欧州12都市で開催するプランを維持する予定だが、報道によれば、単独開催への変更を欧州サッカー連盟(UEFA)に促している加盟国もあるという。(c)AFP/Peter BERLIN