【12月25日 AFP】フィギュアスケート男子シングルで五輪2連覇を達成した羽生結弦(Yuzuru Hanyu)は24日、全国で新型コロナウイルスの感染が拡大している中で「葛藤」を抱えながらも、今週開催される全日本選手権(Japan Figure Skating Championships 2020)に出場しなければならないと感じたと明かした。

 ぜんそくを持つ羽生は、ウイルスに感染すれば健康面のリスクが高まることから今季のグランプリ(GP)シリーズを欠場しており、25日に長野で開幕する全日本は、優勝した2月の四大陸選手権(ISU Four Continents Figure Skating Championships 2020)以来の実戦となる。

 今年の全日本は来年3月にスウェーデンの首都ストックホルムで開催される世界フィギュアスケート選手権(ISU World Figure Skating Championships 2021)の代表選考会も兼ねており、26歳の羽生は自身3度目の世界タイトル獲得を見据える中で大会に出ないといけないと感じたと話している。

 感染リスクなどへの「考えは変化していない」という羽生は「なるべく感染につながるような行動はしたくない。全日本が近づくにつれて第3波が来ている状況で、僕が出ていいのかという葛藤はあった」と明かした。それでも四大陸選手権が中止になった中で、世界選手権に向け「必須として出ないといけない」と語った。

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)が発生した際に、練習拠点のカナダ・トロントから日本に帰国していた羽生は、これまで隠者のような生活を送ってきたといい、外出を避けて人と会うのも家族に限っていたと明かした。

 渡航制限でコーチのブライアン・オーサー(Brian Orser)氏と練習することはできておらず、「コーチなしで毎日一人で練習していた」が、大会に向けては手応えを口にしている。

 羽生は「外に出ていくことが全くなかった。家族以外の人とは極力接触しないようにしていた。ただ、スケートに集中できる環境だったし、いい時間になった」と振り返り、「一人だからこそ深く分析できた。外的要因ではなく、自分の中でどう悪くなったり良くなったりするのか分かった」と話した。(c)AFP