【12月18日 AFP】(更新)スポーツ仲裁裁判所(CAS)は17日、組織的なドーピング問題により、来年の東京五輪と2022年の北京冬季五輪を含めスポーツの国際大会からロシア選手団を2年間出場禁止にすると発表した。しかし、世界反ドーピング機関(WADA)が求めていた4年間の処分期間が半分に軽減されたのは、「クリーンなアスリートやスポーツの高潔性にとって破滅的な打撃」との批判の声が上がった。

 判決文の中でCASは、「ロシアが犯した規則違反の性質と深刻性を考慮し、ドーピングからスポーツの高潔性を確保するため、今回の結論を出した」と発表。「決定した処分はWADAが求めていたほど厳しいものではない」としながらも、「しかしながら、ロシア反ドーピング機関(RUSADA)や同国当局の行為を認めるものとして解釈されてはならない」と説明した。

 処分期間は2022年12月16日までとなるため、ロシアの出場が禁じられる大会には、その2日後に閉幕するサッカーW杯カタール大会(2022 World Cup)も含まれる。同国選手はこれらの大会に出場することが可能だが、ドーピングとは無関係であると証明して中立の立場で臨む場合に限られる。

 今回のCASの裁定には各方面から厳しい批判の声が上がっており、米国反ドーピング機関(USADA)のトラビス・タイガート(Travis Tygart)最高経営責任者(CEO)は、「ロシアの件に関する今回の裁定は破滅的なものであり、クリーンなアスリートとWADAにとって重大な損失になるとUSADAは認識している」と主張した。

「もう10年近くにも及んでいる、この下劣なロシアの組織的ドーピング問題において、このように弱腰で骨抜きの処分は何の慰めにもならない」とし、「クリーンなアスリートとスポーツの高潔性、そして法の支配にとって破滅的な打撃だ」と批判した。

 また、国際的なスポーツ選手らによる団体「グローバルアスリート(Global Athlete)」も、「ロシア選手が『ロシアからの中立選手』として競技に臨めるというのは、システムをあざ笑う見せかけの茶番だ」と反発。「ロシアのアスリートが競技可能なのであれば、それは制裁ではない。彼らは処分を科されたのではなく、再構築されたにすぎない」とした。

 しかしながら、RUSADAのトップを代理で務めているミハイル・ブハノフ(Mikhail Bukhanov)氏は、「きょうの結果はロシアの勝利だ」と歓迎し、「裁判所はWADAの主張を受け入れないと決定した。もちろん、これは重要な先例である」と話した。(c)AFP/Coralie FEBVRE