【12月7日 AFP】スーダンの対エチオピア国境付近にあるウム・ラクバ(Um Raquba)難民キャンプで6日、20年ぶりに再開されたエチオピア正教のジブリール教会(Jibreel Church)に約400人のエチオピア難民が集まって日曜礼拝が行われ、平和と母国への帰還を願って祈りをささげた。

 この教会は1979年、エチオピア移民によって建てられた。その後、80年代には20世紀最悪の人道危機の一つとされるエチオピア大飢饉(ききん)で多数の難民が発生し、ウム・ラクバに身を寄せた。やがて、エチオピア難民のほとんどが母国への帰還を果たした2000年に、難民キャンプもジブリール教会も閉鎖された。

 だが、先月エチオピアのアビー・アハメド(Abiy Ahmed)首相が北部ティグレ(Tigray)州政府与党「ティグレ人民解放戦線(TPLF)」に対する軍事作戦を開始。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によれば攻撃開始以降、4万8000人のエチオピア人がウム・ラクバをはじめとするスーダン東部国境付近の難民キャンプに避難している。

 ティグレ州から逃げてきたエチオピア人の95%はエチオピア正教徒だ。そこで、アドマス(Admasu)司祭は教会の再開を決意。1週間ほど前に、教会の門は再び開かれた。

 6日の礼拝に集まった人の中には、大飢饉の当時を覚えている人もいた。「30年前、私はここにいて、それから帰国した。でも、今また紛争のせいでここスーダンにいる。とても悲しい」と、再び難民となった女性は語った。「この教会を後にしたとき、また戻って来なければならないとは思いもしなかった」

■ティグレ州では戦闘続行か

 国連(UN)は4日、ティグレ州では「多くの場所」で戦闘が続いており、エチオピア連邦政府から許可を得ているにもかかわらず、政府制圧地域に人道支援を届けることができていないと明らかにした。国連関係者は「基本的に、現時点では一切アクセスできていない」とAFPに述べた。

 特に、ティグレ州でも激しい戦闘があったとされる地域にはエリトリア人難民キャンプが点在しており、約9万6000人のエリトリア人らの安否が懸念されている。(c)AFP/Peter Gume, Robbie COREY-BOULET