【12月4日 AFP】バングラデシュは3日、ロヒンギャ難民を自国沖の島に移送する作業を開始した。同島はサイクロンや洪水の被害を受けやすい場所にあり、人権団体は難民の強制退去に当たると指摘している。

 バングラデシュ南東部には、ロヒンギャ難民向けのキャンプが多数設けられている。劣悪な環境のこのキャンプには、2017年にミャンマー軍の攻撃から逃れてきた人々を中心に、約100万人が暮らしている。

 その多くがミャンマーへの帰国を拒否していることや、キャンプ内に暴力的な麻薬密売組織や過激派が入り込んでいることから、バングラデシュ政府はキャンプの撤去を急ごうとしている。

 地方警察幹部によると、3日にバス20台余りが約1000人を乗せてコックスバザール(Cox's Bazar)のキャンプを出発し、港湾都市チッタゴン(Chittagong)へ向かったという。当局は先に、第1段階で計2500人を移送する計画を発表していた。

 関係者らの話では、難民はチッタゴンから軍の揚陸艦でブハシャンチャール(Bhashan Char)島へ移送される予定。

 52平方キロのブハシャンチャール島は、ここ数十年でベンガル湾(Bay of Bengal)に沈泥によって形成された島の一つ。ここにバングラデシュ海軍が、最低10万人のロヒンギャ難民を収容できる施設と、高さ3メートルの堤防を建設した。

 地元住民によると、同島は数年前に水没したことがある上、同域で頻発するサイクロンにより4、5メートルの高潮に見舞われる恐れもあるという。

 ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights Watch)やアムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)などの国際人権団体は、難民の一部は退去を強制されたと批判している。(c)AFP/Sam JAHAN