【11月30日 AFP】韓国の全斗煥(チョン・ドゥファン、Chun Doo-hwan)元大統領(89)は30日、40年前に民主化勢力と軍が衝突した「光州(Gwangju)事件」をめぐり、証言を行った故人の神父への名誉毀損(きそん)罪で有罪判決を受けた。

 光州事件は1980年、拡大した民主化デモを弾圧するために軍が投入された際に起きた、流血の惨事。

 死者・行方不明者数は、公式発表では約200人とされているが、実際はその3倍近くに上ったとする指摘もある。

 事件を受けて「光州の虐殺者」と呼ばれる全元大統領は、一切の直接関与を否定。2017年に出版した回顧録では、軍のヘリコプターが市民を射撃したと繰り返し主張していた故人の神父を公然と非難していた。

 この神父を侮辱した罪で、検察側は1年6月を求刑していたが、裁判所は執行猶予付きの懲役8月を言い渡した。読み上げられる判決をぼんやりとした様子で聞いていた元大統領は、収監は免れた。

 全元大統領は1996年、光州事件にも絡む反乱・内乱罪などで一度は死刑が確定したが、その後減刑と大統領特赦で釈放された。
 
 韓国には大統領経験者が4人存命しているが、いずれも服役中か、服役経験がある。(c)AFP