【12月1日 Xinhua News】中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ、Huawei)はこのほど、社内文書を発表し、スマートカーソリューション事業部門の管理権をICT(情報通信技術)事業管理委員会から消費者事業管理委員会に正式に移管したと明らかにした。

 市場では25日朝に、「ファーウェイの自動車が長安汽車ですでに完成し、来年末には発売される」とのうわさが飛び交っていた。同文書はこれに対するコメントとみられる。同社は文書の中で「完成車は製造しない」との立場を改めて表明し、ICTに焦点を合わせ、自動車メーカーの製造やより良い車の開発を支援すると強調。同社が目指すのはクラウド、管理、端末を網羅するインテリジェント・コネクテッド・ビークル(ICV)ソリューションの構築だと指摘した。

 ファーウェイは2009年にはすでに車載モジュールの研究開発に乗り出し、13年には車載モジュール「ME909T」を発表、車のインターネット(IoV)に本格参入した。14年には東風汽車集団などと相次いでパートナーシップを結び、IoVやスマートカーなどをめぐる提携関係を樹立した。16年には、自動運転車の開発を通信機器の面から促進する「5G(第5世代移動通信システム)オートモーティブ・アソシエーション」をアウディ、BMW、ダイムラー、クアルコムなどと結成。18年11月には、上汽通用五菱汽車と戦略提携枠組み協定に調印し、インダストリアルインターネット、クラウドコンピューティング、ビッグデータ、5Gなどでの技術的優位性を生かし、協力パートナーのICVへの転換を支援する計画を打ち出した。

 19年には、クラウド部門として「スマートカークラウド」、管理部門として「インテリジェント・コネクテッド」、端末部門として「スマートドライブ」「スマートコックピット」「スマートモーター」を相次いで打ち出し、5大事業部門を最終的に形成した。

 今年10月にはスマートフォンの新機種「Mate 40」シリーズを発売するだけでなく、この5大事業部門をカバーするスマートカーソリューションの自社ブランド「HI」を発表した。

 同ブランドの発表は、ファーウェイの自動車事業の目標が「デジタルの世界を各車両に導入する」ことにとどまらず、自動車のICV化のプロセス全体をカバーするものであることを示している。同社の徐直軍(エリック・シュー)輪番会長はこれを「シャシー、4輪、車体、シートを除き、すべてがファーウェイの技術になる」と表現する。

 スタートは出遅れたが追い付き、さらには他社をリードするようになる──スマホ分野でたどった発展の軌跡をファーウェイがスマートカー分野でも再現できるかはまだ分からない。だがICV事業が同社の主力事業に入ったことで、この分野にこれまで以上の資源が傾けられるようになることは間違いない。(c)Xinhua News/AFPBB News