【11月30日 AFP】サッカー界のレジェンドであるディエゴ・マラドーナ(Diego Maradona)氏の死去を受け、欧州の各クラブは29日の試合で追悼を行ったが、同氏が現役時代にプレーしたスペインやイタリアではとりわけ人々の心を打つ場面があった。

 スペイン1部リーグのFCバルセロナ(FC Barcelona)で2シーズン、セビージャFC(Sevilla FC)で1シーズンを過ごし、イタリア・セリエAのナポリでプレーした7年のほとんどが輝かしい時代だったマラドーナ氏は、25日に60歳で死去した。

 同日昼に行われたバルセロナとオサスナ(CA Osasuna)の試合では、センターマークに置かれた同氏のユニホームを囲むようにして両チームの選手がセンターサークルに並ぶ中、アルゼンチン代表でマラドーナ氏がつけた伝説の背番号10を受け継いだリオネル・メッシ(Lionel Messi)はうつむいていた。

 半旗が掲げられたバルセロナの本拠地カンプ・ノウ(Camp Nou)では、全てのスクリーンと広告板にマラドーナ氏の写真が映され、クラブの職員が、額縁に入ったバルセロナ時代の同氏のユニホームを抱えていた。

 73分に見事なゴールを決めたメッシはバルセロナのユニホームを脱ぎ、マラドーナ氏がかつて1シーズン所属したアルゼンチン1部ニューウェルス・オールドボーイズ(Newell's Old Boys)のビンテージ版ユニホームを披露し、自身のゴールを喜んだ。

 ナイトゲームとなったナポリ対ASローマ(AS Roma)戦の前には、1986-87シーズンと1989-90シーズンに、チームをこれまで2度しかないリーグ優勝に、1988-89シーズンにはUEFAカップ(UEFA Cup)制覇に導いたレジェンドを追悼するにふさわしい手の込んだ感動的なセレモニーが行われ、チームも4-0で快勝した。

 ナポリはマラドーナ氏の死後初めて行われたリーグ戦で、アルゼンチン代表を連想させるユニホームを着用した。

 カーブのかかったFKで30分過ぎにゴールを決めたキャプテンのロレンツォ・インシーニェ(Lorenzo Insigne)は、マラドーナ氏を象徴する10番のユニホームを掲げ、それにキスをしてゴールを祝った。

 インシーニェは「マラドーナが死去してからのここ数日は、特別な勢いがついているのは確か。われわれのアイドルが亡くなって胸が痛い」とコメントした。

「彼や傷ついている街全体のために、きょうはいつも以上のパフォーマンスを披露して結果を出したかった。この勝利を彼にささげる」

 ナポリの本拠地サン・パオロ・スタジアム(San Paolo Stadium)については、じきにマラドーナ氏にちなんだ名称に改名される見通しであることが、同市長から示唆されている。

 映像は試合前にマラドーナ氏を追悼するバルセロナとオサスナの両チームの選手、29日撮影・提供。(c)AFP/Peter BERLIN