【11月30日 Xinhua News】中国河南省(Henan)南陽市(Nanyang)の黄山遺跡でこのほど実施された発掘調査で、5千年余り前の玉石器工房10カ所が見つかった。仰韶(ぎょうしょう)文化末期の大型工房3カ所と屈家嶺文化期の工房7カ所で、玉鉞(ぎょくえつ、まさかり)や玉琮(ぎょくそう、礼器)、耳璫(じとう、耳飾り)、玉釿(ぎょくきん、ちょうな)などが出土した。専門家は、玉石器生産の大型基地としての性質を持つ遺跡とみている。

 黄山遺跡は南陽市北東部の臥竜区蒲山鎮(Pushan)黄山村にある。2018年5月に河南省文物考古研究院が地元と協力して発掘調査を開始。作業は現在も続いており、発掘面積は1700平方メートルに及ぶ。

 同研究院・黄山遺跡考古学プロジェクトの責任者、馬俊才(Ma Juncai)氏は「今回の発見で、中原(黄河中・下流域)地域と長江中流域における新石器時代の玉器工房遺構の時代的空白が埋まった。遺跡は南北の文化が遭遇する地域に位置し、しかも5千年前のものであることから、中華文明の形成を研究する上で重要な資料となる」と述べた。

 仰韶文化末期の工房は、手前に作業場、奥に住居が配置されており、木造土壁構造になっている。馬氏は「遺跡は国内でもまれに見る保存状態の良さで、うち二つは面積が120平方メートル以上あった。区画は整然としており、規模も大きく、構造も複雑だ」と語る。室内には、職人たちが生産と生活のために用いた土器や石器と玉石器製品が大量に残されており、材料の切り出しや成型、修整、研磨、穿孔(せんこう)、彫刻など5千年前の玉石器製造技術をほぼ再現できるという。

 工房からは大量の錐(きり)、彫刻刀や砥石(といし)などの石製工具のほか、玉石材料の不良品、土器、骨器なども出土した。馬氏は「黄山遺跡が仰韶文化末期と屈家嶺文化期の専門的な玉石器製造場だったことを示している」と指摘する。これまで見つかった玉石器は、鋤(すき)やおの、釿、鑿(のみ)、刀などが中心で、礼器として使われた玉鉞や玉琮も一定数含まれていた。璜(こう、円弧型の装飾品)や環、耳璫、珠などの玉器も多く出土した。

 今回の調査では、大量のブタ下顎(かがく)骨の副葬品が特徴の屈家嶺文化期の玉器職人集団の墓も90基余り見つかった。馬氏は「中でも77号墓では、ブタの下顎骨400点余りのほか、独山玉鉞(独山は南陽市近郊にある玉の産地)2点、握り部分に象牙装飾のある長弓1点、骨製矢じりを持つ矢3点、象牙のくし2点、土器11点が出土した。極めて貴重な発見だ」と説明。当時の社会構造や社会・経済活動を知る重要なよりどころになると語った。(c)Xinhua News/AFPBB News