【11月25日 AFP】元ラグビーフランス代表のクリストフ・ドミニシ(Christophe Dominici)氏が24日、パリ近くの公園で死亡しているのが発見された。48歳だった。

 身長172センチ、体重82キロと小柄なドミニシ氏は、現代フランスラグビーのまぎれもないレジェンドの一人で、代表戦67試合に出場して25トライを決め、W杯(Rugby World Cup)3大会で計8トライを挙げた。

 完璧なボディーバランスと緩急、タックルをすり抜けて相手DFを惑わす能力を持ち、1999年のW杯では、ジョナー・ロムー(Jonah Lomu)氏を擁するニュージーランドとの準決勝で、相手選手2人の間を抜けながらバウンドしたボールを片手でつかみ、左サイドを駆け抜けるトライを挙げた。後半のこのトライで初めてリードを奪ったフランスは、14点差をひっくり返してW杯史に残る逆転勝利を収め、決勝に進出した。

 フランスラグビー連盟(FFR)のベルナール・ラポルト(Bernard Laporte)会長は、28日にイタリアと対戦する現代表にドミニシ氏の訃報を伝えたという。今の代表は、1999年の伝説の試合でドミニシ氏と共に戦ったファビアン・ガルティエ(Fabien Galthie)氏がヘッドコーチ(HC)、ラファエル・イバネス(Raphael Ibanez)氏がコーチを務めている。

 イバネスコーチは「ドミはわれわれのスポーツのレジェンドだった。ものすごいエネルギーとパッションで青いジャージーをまとった」「それにも増して、われわれの友人だった。一緒にフィールドで、何よりもチームとして、最高の美しい気持ちを味わった」とコメントした。ガルティエHCは明らかに動揺した様子で、イタリア戦ではドミニシ氏に「哀悼の意を表する」と約束した。

 FFRはドミニシ氏を「全世代に影響を及ぼしたレジェンドであり、象徴的なプレーヤー」だと表現し、他にも世界中の関係者が弔意を表した。

 ワールドラグビー(World Rugby)のビル・ボーモント(Bill Beaumont)会長は、「クリストフ・ドミニシの知らせに深い悲しみを抱いている。彼は1999年W杯のスリリングな準決勝で見事なトライを決め、フィールドへ立つたびに何かしてくれそうな期待を抱かせた。家族にお悔やみ申し上げる」とツイッター(Twitter)に書き込んだ。

 元アイルランド代表主将で、ドミニシ氏と何度か対戦したブライアン・オドリスコル(Brian O'Driscoll)氏も「突然の訃報を非常に悲しんでいる。キャリアを通じて大きな成功を収めた才能あふれる選手だった」とつぶやいた。

 ドミニシ氏はクラブレベルでも輝かしいキャリアを過ごし、地元クラブのRCトゥーロン(RC Toulon)で頭角を現すと、移籍したスタッド・フランセ(Stade Francais)では5回のリーグタイトルを獲得した。引退後は当時代表HCだったラポルト氏からコーチに指名され、テレビ解説者も務めた。

 しかし、フィールドの外ではうつ状態に苦しんだ。2007年に刊行された自伝では、近しい人間の死でうつになり、また幼少期に虐待されていた過去を告白していた。警察によると、サンクルー公園(Parc de Saint-Cloud)内の使われなくなった建物の屋上からドミニシ氏が飛び降りるところを目撃していた人がいるという。(c)AFP