【11月24日 AFP】世界で9500万人のイスラム教徒が礼拝の時間とメッカ(Mecca)の方角を知るため使っているというアプリ「ムスリムプロ(Muslim Pro)」の運営企業が、収集したユーザーのデータを米軍と関係のある企業に販売し、このデータを利用して海外に展開する米軍の特殊部隊がドローンでテロ容疑者を殺害している可能性があると報道されたことを受けて、同アプリのユーザーらが24日に訴訟を起こすと原告側弁護団が23日、明らかにした。フランスのRTLラジオが伝えた。

 原告側は、アプリ運営企業をデータ保護違反、信義則違反、第三者の生命を危険にさらす行為、殺人の共謀で訴える。

 これに先立ち、バイス・メディアグループ(Vice media group)が先週、米軍は世界各地で、ムスリムプロなどのアプリから集めたユーザーの位置情報を買い集めていると報じていた。

 バイス・メディアによると、ムスリムプロの運営企業は集めたデータをX-Modeという企業に販売。X-Modeが下請け会社に転売し、そこからさらに転売されて米軍の手に渡っていた。米軍の特殊部隊は海外での任務でこのデータを利用できた可能性があり、ドローン攻撃によるテロ容疑者殺害に利用された恐れもある。

 シンガポールを拠点に活動するフランス国籍の人物が創業したムスリムプロの運営企業は、バイス・メディアの報道の翌日、他社とのデータの共有を中止し、内部調査を始めたと発表した。 (c)AFP