【11月23日 AFP】大きな黄色いアヒル形浮具の上で、黄色い法衣の僧侶が3本指のサインを掲げ、2万人を超えるデモ隊の頭上をアヒルたちが浮き沈みしながら運ばれていく──タイの首都バンコク中心部で先週行われたデモの光景だ。

 2014年のクーデターで政権を掌握したプラユット・チャンオーチャー(Prayut Chan-O-Cha)首相の退陣と軍政時代に定められた憲法の改正を求める若者主導のタイ民主派デモで、「黄色いアヒル」が突如、抗議のシンボルとなっている。デモ会場には、アヒルのゴム人形を売る屋台も登場した。

 きっかけは17日、議会付近で行われたデモで、警察による刺激物入りの放水や催涙弾を防ぐ盾としてアヒルの浮具を使った参加者がいたことだった。

 デモの映像は「ラバーダック革命」と銘打たれ、ソーシャルメディア上で拡散された。

 フェイスブック(Facebook)には「そら、デモ隊が最も恐るべき武器を持ち出したぞ。アヒルの浮具だ」との投稿が。一方、ツイッター(Twitter)には「政治が良ければ、アヒルはプールでしか使われなくなるだろう」とのコメントが書き込まれた。

 ぼろぼろになって少し空気も抜けたアヒルの写真を添えて、「アヒルは闘士だ。どんなに虐げられても、笑みを絶やさない」とツイートしたタイ人男性もいる。

 これまでにも、風呂場を和ませるゴム製アヒルが抵抗や抗議の象徴となった事例は複数ある。

 たとえば中国では、1989年の天安門(Tiananmen)事件で戦車の行く手を遮る男性の有名な写真を加工し、戦車を黄色いアヒルに入れ替えた画像が中国版ツイッターの「ウェイボー(Weibo、微博)」に投稿され、中国当局が「大きな黄色いアヒル」という言葉を検索結果に表示されないよう検閲対象に指定したことがある。(c)AFP/Lisa Martin and Montira Rungjirajittranon