【11月19日 AFP】今あなたが米首都ワシントンで10人の集まりに参加しているなら、その中の1人が新型コロナウイルスに感染している可能性は18%あり、同じ条件で場所を仏パリに変えると確率は32%になる──米ジョージア工科大学(Georgia Institute of Technology)の研究チームが、地域ごとに感染リスクを評価するツールを開発した。

 このオンラインダッシュボードでは、米国や欧州の一部の国を対象に、リアルタイムの感染データを用いて新型コロナの感染率を地域レベルで表示。ユーザーが指定した地域で集会に参加するリスクを評価できる。

 英科学誌「ネイチャー・ヒューマン・ビヘイビア(Nature Human Behaviour)」に発表された論文によると、ツールの開発目的は「データに基づく情報を提供し、個人や政策立案者が(例えばマスクの着用順守や大人数のイベント自粛などについて)良識的な意思決定を行うのを支援すること」だという。

 ユーザーは、スライド機能で集会の参加人数を指定する。すると、その規模のイベントを開催した場合に、参加者の中に新型コロナ陽性者が少なくとも1人含まれている確率が地方行政区画ごとに表示される。

 もちろん、実際の感染リスクはイベントの開催が屋内か屋外か、参加者がマスクを着用しているかといった条件に左右される。だが、ダッシュボードを共同開発したジョシュア・ワイツ(Joshua Weitz)氏は、「さまざまな規模のイベントに新型コロナ感染者が1人(またはそれ以上)いるリスクはどの程度かという疑問点のみに、あえて焦点を合わせた」と述べている。

 ワイツ氏によると、この試算モデルでは感染者の陽性期間を10日間に設定した。研究チームは今後、リスク評価対象国を拡大していきたいとしている。

 疫学専門家の見解では、米国には確認された新型コロナ感染者数の約10倍に上る未検出の「見えない感染者」がいるとみられる。(c)AFP