【11月2日 AFP】西アフリカのコートジボワールで週末に行われた大統領選挙は、現職のアラサン・ワタラ(Alassane Ouattara)大統領(78)の出馬を憲法が定めた3選禁止に違反していると批判する野党が投票をボイコットし、一部で衝突が起きて死者が出るなど緊張が高まっている。野党側は、ワタラ氏の任期は切れたと主張し、国民への権力移譲を要求。これに対し与党側は「国家を不安定化させる試み」だと野党指導者らに警告した。

 選挙管理委員会が発表した選挙の中間結果では、野党のボイコットを受け、ワタラ氏が大きくリードしている。

 コートジボワールの憲法は大統領の3選を禁止しており、ワタラ氏は当初、2期満了に伴って後進に道を譲ると述べていた。だが、後継者に指名したアマドゥ・ゴン・クリバリ(Amadou Gon Coulibaly)首相(当時)が今年7月に急死。ワタラ氏は8月、2016年の憲法改正により自身の任期はリセットされたと主張して、立候補を表明した。

 野党側はこの主張を「選挙を通じたクーデターだ」と非難し、怒りをあらわにしている。

 国内では投票日を前に、選挙絡みの衝突で少なくとも30人が死亡した。同国では2010年の大統領選後、当時政権の座にあったローラン・バグボ(Laurent Gbagbo)前大統領がワタラ氏に対する敗北を認めず、翌年まで続いた暴動で3000人が死亡しており、野党の抗議を受け、同様の事態が再び起きることへの懸念が広がっている。

 野党の大統領候補パスカル・アフィ・ヌゲッサン(Pascal Affi N'Guessan)元首相は1日、前日の投票日をもってワタラ氏の任期は満了したと記者団に語り、野党各党の総意として「権力移譲の開始」をワタラ政権に要求。国民に立ち上がるよう呼び掛けた。

 これに対し、与党連合RHDPのアダマ・ビクトゴ(Adama Bictogo)政治顧問は、記者会見で「RHDPは不安定化を狙うあらゆる試みについて、アフィ・ヌゲッサン氏らに警告する」と述べた。

 治安情報筋と医療関係者によると、投票日の10月31日には中部ティエビスー(Tiebissou)やウメ(Oume)、テイリ(Tehiri)村などで、選挙をめぐるデモが異なる政党を支持する民族間の衝突に発展し、少なくとも5人が死亡した。ティエビスー市長は与党所属だが、市長室によれば市内では銃や刃物により27人が負傷した。(c)AFP