【10月31日 AFP】フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)に参戦するメルセデスAMG(Mercedes AMG)のルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)は30日、今週末に開催される今季第13戦エミリアロマーニャGP(Emilia-Romagna Grand Prix 2020)を控えてイモーラ(Imora)のサーキットに到着した後、悲しい記憶がよみがえったと明かした。

 通算6度の年間優勝を誇るハミルトンは、子どもの頃のヒーローだったブラジル人ドライバーのアイルトン・セナ(Ayrton Senna)氏が、1994年のサンマリノGP(San Marino Grand Prix)で命を落としたコーナー「タンブレロ(Tamburello)」に建てられた記念碑を通り過ぎた際に、悲しみに襲われたと語った。

 前週の第12戦ポルトガルGP(Portuguese Grand Prix 2020)でF1史上最多記録を更新する通算92勝を記録してから5日が経過し、仕事に戻って過去と現在そして未来に関して矢継ぎ早に質問を受けたハミルトンは、これがF1ドライバーとして初めて臨むイモーラでのレースとなる。

 コースを下見しながら感情的になったというハミルトンは、「もちろん1994年の歴史的な出来事は誰もが一生忘れないだろう」「きょうの周回は本当に特別なものになった。ただ回ってこの歴史的なサーキットを眺め、アイルトンがクラッシュしたことを思い出させるつらい場所を通り過ぎてね…」と話した。

「過去の偉大な選手が走ったモナコのトンネルやシルバーストーン(Silverstone)のような場所に行くときは、今でも現実とは思えないんだ」「自分がさっきいた場所は、26年も前にアイルトンが今の僕のように愛することをやっていた場所」「だから、自分もここに来られて26年前の彼と同じことをしていると思うと、ある意味で心が温まった。だけど、それ以外はレースの一つにすぎない」

 ハミルトンはセナ氏が亡くなった1994年5月1日のことは、今でも鮮明に覚えている。当時は9歳で、英国のジュニアレースで父親のアンソニー(Anthony)さんがカートを修理してくれているのを手伝っていたという。

「父がどうやってニュースを知ったのか分からないけれど、アイルトンが亡くなったと誰かが伝えてきたんだ」「父から離れなければならなかったことを覚えている。父の前で泣くことは許されていなかったから、別の場所へ行く必要があったんだ。つらかったよ」「その悲しみをドライビングに注ごうと頑張ったのを覚えている。その週末は優勝したけれど、その後はすごくつらかった」

 ハミルトンは自身7度目のドライバーズ選手権制覇に前進する中で、今週末のレースではチームメートのバルテリ・ボッタス(Valtteri Bottas)と共に、メルセデスのコンストラクターズ選手権7連覇達成を目指している。(c)AFP