【10月27日 AFP】韓国で26日、「良心的兵役拒否」を表明した宗教団体「エホバの証人(Jehovah's Witnesses)」の信者らが、スーツにネクタイ姿で刑務所前に列をつくった。しかし兵役拒否者らはこれまでのように服役するのではなく、刑務所職員として研修を受ける。

 厳密には依然として北朝鮮と戦争状態にある韓国は、120万人の北朝鮮軍から自国を防衛するため、徴兵制を維持している。

 数十年もの間、兵役拒否者らには有罪とみなされて服役する以外の道はなく、一生残る汚名を着せられてきた。それでも良心的兵役拒否者は計数万人に上り、このうちの多くがエホバの証人の信者らで、信仰を守るために進んでこの代償を払ってきた。

 しかし26日、宗教・道徳上の理由に基づく兵役拒否者らのための新たな制度が発効。これにより、拒否者らには刑務所職員として、通常の兵役期間の2倍の3年間の服務が義務付けられる。

 この制度下で服務する第一陣となったエホバの証人の信者ら63人は同日、首都ソウル南郊にある大田(Daejeon)の刑務所に到着。現地は明るい雰囲気に包まれ、家族と笑顔で抱擁を交わす姿が見られた。

 これは、新兵訓練所の入り口で髪をそったばかりの若い男性らが、涙を浮かべながら愛する人々に別れのあいさつをする、通常の兵役の始まりとは対照的な光景となった。

 韓国では健康な全男性に対し、30歳を迎える前に1年半の兵役が義務付けられている。この制度は時に強い反発にさらされる一方で、同期の兵士らと一生の絆を結ぶことにもつながり、一つの通過儀礼となっている。

 しかし韓国大法院(最高裁)が2018年、宗教・道徳上の信条を兵役拒否の正当な理由と認める判断を示したことで、良心的兵役拒否者らが犯罪者扱いされずに済む道が開かれた。(c)AFP/Kang Jin-kyu