【10月24日 AFP】米航空宇宙局(NASA)は23日、無人探査機「オシリス・レックス(OSIRIS-Rex)」が今週、地球近傍小惑星「ベンヌ(Bennu)」から多くの粒子のサンプルを採取することに成功したものの、サンプルが容器から大量に流出していることを明らかにした。

 担当チームは現在、残ったサンプルを直ちに格納するよう努めている。

 ミッションの主任研究員ダンテ・ローレッタ(Dante Laurett)氏は報道陣との電話会見で、「必要となる採取物質のうち、かなりの量がこぼれ出している」と述べた。

 オシリス・レックスは2023年9月に地球に帰還予定で、月面探査計画アポロ(Apollo)以来最大の宇宙サンプルを持ち帰り、太陽系誕生の秘密を探る手掛かりを提供すると期待されている。

 ローレッタ氏によると、必要なサンプル量は少なくとも60グラムだったが、探査機はそれをはるかに超える約400グラムのサンプル採取に成功したとみられている。しかし、ロボットアームの端にある採取容器のふたに大きめの物質がはまり込み、わずかにふたが開いているため、中のサンプルが流出している疑いがある。

 このため、探査機の活動をできるだけ抑えるとともに、サンプルを探査機のカプセルに早急に格納することが新たなミッションとなった。

 サンプルがどれだけこぼれ出たかは正確には不明だが、打ち上げから4年以上を経た今になってオシリス・レックスが貴重なサンプルを失ってしまう危険性について、専門家らはそれほど心配していないようだ。

 NASAのトーマス・ザブーケン(Thomas Zurbuchen)科学局長は、サンプルの格納は急ぐ必要があるとしながらも、「(流出は)それほど悪い問題ではない。この歴史的な瞬間から何十年も先まで科学に影響を与え続けるであろうサンプルが豊富に集められているようで、私たちは興奮している」と述べている。(c)AFP