【10月20日 AFP】哺乳瓶で授乳される乳児は、1日当たり100万個以上のマイクロプラスチック粒子を摂取している可能性があるとの論文が19日、発表された。

 研究結果は、英科学誌「ネイチャー(Nature)」の関連誌で食品に関する研究を取り上げる「ネイチャー・フード(Nature Food)」に掲載された。

 プラスチック片が破砕されてできる微小な粒子を人間が大量に消費しているという証拠が増え続けている一方で、その健康への影響についてはほとんど分かっていない。

 アイルランドのダブリン大学トリニティカレッジ(Trinity College Dublin)の研究チームは、ポリプロピレン製の哺乳瓶やその付属品10種類について、マイクロプラスチック粒子が放出される割合を調べた。ポリプロピレンは食品容器で最も一般的に使用されるプラスチック。

 21日間の実験で、対象となった哺乳瓶から1リットル当たり130万~1620万個のマイクロプラスチック粒子が放出されたことが分かった。

 研究チームはこのデータと各国での母乳育児の割合に基づき、哺乳瓶での授乳によって世界の乳児がマイクロプラスチック粒子にさらされる潜在的可能性をモデル化。哺乳瓶で授乳される平均的な乳児は生後1年間で、毎日160万個のマイクロプラスチック粒子を摂取している可能性があると見積もった。

 研究チームは、熱湯の使用や殺菌がマイクロプラスチック粒子放出の最大の要因だと指摘。25度のぬるま湯では平均で1リットル当たり60万個のマイクロプラスチック粒子が放出されるのに対し、95度の熱湯では5500万個になるという。

 マイクロプラスチック粒子の放出は、殺菌された冷水で哺乳瓶をすすぐ、プラスチック以外の容器で調乳してから哺乳瓶に注ぐなど追加の手順を踏むことで、簡単に減らすことができるという。

 同研究に参加していない、英ポーツマス大学(University of Portsmouth)の上級研究員フェイ・コウセイロ(Fay Couceiro)氏(生物地球化学)は「哺乳瓶を殺菌しない、または熱湯を使用しないことで生じる危険性は解明された、現実のものだ。マイクロプラスチック粒子の生成とその健康被害が明らかになるまでは、これらのよく知られた病気の危険性の方が重要視されるべきだ」と述べた。(c)AFP/Amelie BOTTOLLIER-DEPOIS