【10月16日 AFP】駐カナダ中国大使は15日、カナダ政府が香港の民主派デモ参加者を難民として受け入れるなら、香港在住のカナダ人の「健康と安全」は危険にさらされかねないと警告した。カナダ外相はこの発言を強く非難。両国間の緊張がいっそう高まっている。

 叢培武(Cong Peiwu)大使は、抗議デモに参加していた香港出身のカップルがカナダ政府から難民認定を受けたとの報道を受け、「香港の暴力的な犯罪者らに、いわゆる政治亡命を認めないようカナダ政府に強く求める。なぜなら、それは中国の国内問題への介入だからだ。それに、凶悪犯罪者らをより大胆にさせることになる」と、動画を介した記者会見で述べた。

 その上で叢氏は「よって、もしカナダ側が香港の安定と繁栄を本気で心配し、香港にいるカナダ国籍保持者30万人の健康と安全や香港特別行政区で事業を展開している多くのカナダ企業を真に気に掛けるのであれば、暴力犯罪と闘う取り組みを支援するべきだ」と続けた。

 この発言は脅しかと記者団が質問すると、叢氏は「それはあなたの解釈だ」と答えた。

 カナダのフランソワフィリップ・シャンパーニュ(Francois-Philippe Champagne)外相は、「全く受け入れられない憂慮すべき」発言だと非難。カナダのメディア各社は、シャンパーニュ外相が「カナダ国際関係省に叢大使を呼び出し、カナダ政府は常に人権と世界中のカナダ人の権利を守るということをきっぱりと明確にするよう指示した」と伝えた。

 中国とカナダの関係は、中国の通信機器メーカー、華為技術(ファーウェイ、Huawei)の孟晩舟(Meng Wanzhou)最高財務責任者(CFO)がカナダ当局に逮捕された後、急激に悪化。国交50周年を迎える中、外交関係は緊張の度合いを高めている。(c)AFP