【10月12日 CNS】中国最大の通販サイト「淘宝(タオバオ、Taobao)」でネットショップを運営している農村、通称「淘宝村」が中国全土で5000村を超え、1年間の取引総額は1兆元(約16兆円)を突破した。IT大手阿里巴巴集団(アリババグループ、Alibaba Group)によって生み出された淘宝村は、各地の農村に恩恵をもたらしつつ、中国経済にとって新しい成長ツールとなっている。

 河北省(Hebei)粛寧県(Suning)で9月26日に開かれた「第8回中国淘宝村サミット」で、アリババの社長兼CEOの張勇(Daniel Zhang)氏は「中国で一番基礎的な自治体の村や鎮(町)およびその地域の企業が、中国で最も活発な経済細胞となっている」と語った。

 サミットで公表された「2020中国淘宝村研究リポート」によると、今年6月までに全国の村の約1%にあたる5425の淘宝村が誕生し、828万人を雇用し、出稼ぎ農民が地元に戻り創業する地盤になっている。年間取引総額が1億元(約16億円)を超える淘宝村は745を数え、広州市(Guangzhou)大源村(Dayuan)は100億元(約1580億円)に達した。「地域おこし」の経済規模を超え、淘宝村が大規模産業に発展したことを示している。また、淘宝村は伝統的な労働集約型産業から技術集約型産業に移行しつつあり、複数の淘宝村が相互に協力する新たな発展局面も見られている。

 淘宝村は自然発生的に広まったのではなく、アリババが農村でデジタル経済を推進したことが成長の背景にある。米国「フォーブス(Forbes)」誌は、「中国の農村への直接投資」からアリババを3年連続で「世界を変える企業」に評価。アリババは中国農村の変革者となり、世界的に貧困を解消する「中国式モデル」の提唱者となった。

 アリババは2014年から、農村の特産品をオンラインで都市に販売する戦略を打ち立て、巨額の投資を続けた。2017年には「1ムー(約667平方メートル)あたりに1000ドル(約1万5910円)を産出する」計画を発表し、この3年間で5400億元(約8兆5200億円)の農産物の販売に貢献してきた。今年に入り新型コロナウイルス感染症が拡大した期間も、淘宝村は生産・販売活動を保ち、国内経済と農村経済を下支えした。