時計のデザインで人気の的が内部のメカニズムが見通せる“オープン”スタイル。ダイアルやケースバックを通して見える精巧なムーブメントとスケルトンで露わになった機構には心躍る!
オープンスタイルの個性的なデザインを創り出すのは、クラシカルな機械式時計に限らず、一般的なスポーツウォッチにおいても年々盛んになってきた。その場合、露わに見せたムーブメントのメカニズムは、デザインのエレメントであるだけでなく、スポーティな感覚そのものに直結していることも多い。
たとえるなら、それはパワフルに駆動するマシンに通じるイメージだろう。その一方で、スポーツウォッチがとかく陥りがちな無骨な印象を和らげ、お洒落に変身させることができるのもオープンの利点。腕に着けたときのスポーツウォッチが軽やかで断然カッコ良く見えてくる。
いわゆる正攻法で作られた典型的なスポーツウォッチのデザインの多くは退屈になりがち。頑強で精悍、実用的で機能的と突き詰めていくほどに洒落た感覚や遊び心は後退せざるをえないからだ。そこに風穴を開けるのがオープンだと思う。軽快で楽しいデザインがスポーツウォッチを変えていくにちがいない。
スポーツモデルでのスケルトン化は盛り上がる一方だが、その表現方法も新たなアプローチが増えている。中でも注目したいのは、クロノスイスやベル&ロスのように最初からスケルトンを前提にムーブメント(および地板と受け)をデザインしたスタイル。スポーツなのにメカニカルで知的な感じをもたらす組み合わせはこれからの大きなトレンドになりそうだ。
オープンスタイルの時計には、クルマに関連するものも少なくない。ダイナミックでスポーティなムーブメントが、まさに俊足レースカーのマシンを連想させるのだ。そうした好例は、ランボルギーニ・スクアドラ・コルセとパートナーシップを結ぶロジェ・デュブイ。ランボルギーニ ウラカンに搭載されるV10エンジンに通じるイメージを随所に取り入れた「エクスカリバー ウラカン」の独創的なスケルトンムーブメントは迫力満点だ。
文=菅原 茂(時計ジャーナリスト)/前田清輝(ENGINE編集部シニア・エディター)
(ENGINE2020年11月号)
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文=菅原 茂(時計ジャーナリスト)/前田清輝(ENGINE編集部シニア・エディター)
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