【10月5日 AFP】4日に行われた全仏オープンテニス(French Open 2020)男子シングルス4回戦で、大会第2シードのラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)に敗れたセバスチャン・コルダ(Sebastian Korda、米国)が、20万ドル(約2110万円)の賞金を獲得したことよりも、子どもの頃から憧れていたナダルにサイン入りシャツをもらったことの方を喜んだ。

 世界ランキング213位の予選勝者コルダは、大会優勝12回の実績を誇るナダルに1-6、1-6、2-6で完敗した。しかし、1998年の全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament)王者で、全仏オープンでも1992年に準優勝を経験したペトル(Petr Korda)氏を父に持つ20歳は、四大大会(グランドスラム)優勝19回のナダルと同じコートに立てたことを喜んだ。

「間違いなく、僕の人生で最高の瞬間だ。超うれしいよ」

「試合の後、ラケットを合わせたときにサイン入りのシャツをくれないか頼んだ。試合後にサインを求めた対戦相手が今までいたかは分からないけど、僕にとっては間違いなく人生で一番クールな瞬間だったし、一生忘れない」

「ラファは信じられないことに、構わないと言ってくれた。だから今、僕のバッグにはシャツが入っている。超興奮している」

 ジュニアで世界ナンバーワンになったこともあるコルダは、全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2020)で四大大会(グランドスラム)デビューを飾り、今回は初めて予選を突破してグランドスラムの本戦に出場した。

 試合前には、ペットの猫をラファと名付けるほどの深いリスペクトの念を口にしていたが、この日はナダルの鋭いフォアハンドのショットがインになることまで願ったという。

「ネットの横を巻くフォアハンドを打ってきて、僕としては入ってくれと祈るような気持ちだった。そうなったら最高にクールだからね」「そうしたら実際に走りながらフォアハンドのウイナーをライン上に決めてきた。すごいとつぶやくしかなかった。たくさんのことが学べた」

「スコアは僅差にはならなかったけど、ゲームの中身はかなり接戦だった。だからすごく自信になったし、こういう相手でも苦しめられる十分なビッグショットが自分にあることも分かった」

 一方のナダルもコルダをべた褒めし、「見事な」バックハンドだと表現する一方で、48本のアンフォーストエラーはもったいないと注文もつけた。

「フォアハンドでときどきミスがあったから、そこは少し調整する必要があるだろう。とはいえ、ボールを早めにとらえる力があるし、正しいポジションも取れている。コートの内側では相手を圧倒できる」

「上背もかなりあるから、サーブも少し改善していけるだろうし、必ず良くなると思っている」 (c)AFP/Dave JAMES