【10月2日 AFP】英スコットランドの湖で、来週大規模な国際的軍事演習が始まるのを前に、キタトックリクジラの群れを救出する作戦が行われた。しかし、救助隊は2日、救出を断念した。

 スコットランド西部グラスゴーの北に位置するゲア湖(Gare Loch)には、英国の原子力潜水艦隊の拠点であるファスレーン(Faslane)海軍基地がある。

 同基地付近では今月4~15日に、英主導の軍事演習「ジョイント・ウォリアー(Joint Warrior)」が行われ、同国はじめ北大西洋条約機構(NATO)やその他の国際部隊から数千人が参加する予定。

 この演習により、水中音に敏感なクジラたちが影響を受けるという懸念が持ち上がった。

 英ダイバーズ海洋生物救助隊(British Divers Marine Life Rescue)は、ロング湖(Loch Long)と隣接するゲア湖からクジラたちを海へと誘導するため、船10隻でバリアーをつくったという。

 しかし、クジラは方向を変え、同域に再び戻ってしまった。同救助隊は「努力はしたが、クジラを海に送り出すことができなければ、われわれにこれ以上できることはほぼ皆無だ」と肩を落としている。

「今やクジラたちは、普段は入って行かない場所に行ってしまった。われわれは皆、クジラたちにとっての最善を願っている」と述べた。(c)AFP