【9月30日 Xinhua News】中国科学院紫金山天文台は28日、同天文台の研究者が過去の太陽黒点の活動事例を再分析した結果、太陽の大気中を流れるイオン化ガスが黒点の磁場を大幅に増幅させていることを発見したと明らかにした。これは太陽表面の自然磁場にとって、無線ネットワーク信号の「増幅器」のような役割を果たすものであり、人類が黒点や太陽フレア、プロミネンスなど一連の太陽活動を理解する上で、重要な意義を持つ。

 黒点は、太陽の表面(光球)に現れる小さな黒い点で、通常この黒点は地磁気の1万倍に及ぶ強力な磁場を持つと考えられている。黒点は実際には「黒」ではなく、強い磁場によって太陽内部から外部へのエネルギー伝達が抑制された結果、局所的に温度が低い場所が生じ、黒い斑点のように見えるようになっている。太陽黒点が増幅期に入った年は「磁気嵐」現象が発生し、地磁気の変動や無線通信の障害など深刻な影響を引き起こす。

 研究チームは今回、米航空宇宙局(NASA)の太陽観測衛星「SDO」と「IRIS」が撮影した衛星画像を用いて、2016年に発生した高速運動する黒点の事例を再分析。画像からは、黒点の前方に磁場の増幅によって生じたようなアーチ形の影が見られ、さらにシミュレーション計算した結果、太陽大気中を流れるイオン化ガスが、黒点磁場を増幅させ、これらの観測された影を生成していたことが判明した。太陽表面でこのような自然磁場の「増幅器」が発見されたのは、今回が初となる。

 研究成果はこのほど、国際天文学・天体物理学誌「The Astrophysical Journal Letters」に掲載された。(c)Xinhua News/AFPBB News