【9月29日 AFP】2016年米大統領選で、ドナルド・トランプ(Donald Trump)陣営のデジタルチームが、アフリカ系米国人数百万人に投票を断念させようとしていた疑惑が浮上した。英公共放送チャンネル4(Channel 4)が28日、調査結果を報じた。

 調査チームは、トランプ陣営が4年前に使用したデータファイルを入手。ファイルには2億人近い米有権者の情報が入っていて、それぞれソーシャルメディア上で特定の広告を見せるためのカテゴリーごとに分類されていたという。

 その中で、アフリカ系米国人350万人超が、投票棄権を働き掛ける対象となる「阻止」と名付けられたカテゴリーに分類されていたとされる。

 調査チームによると、概して民主党支持のアフリカ系米国人は、他のコミュニティー以上にこの戦略のターゲットにされていたという。

 たとえばジョージア州では、人口に占める黒人の割合が32%にすぎないにもかかわらず、「阻止」カテゴリーに分類された黒人の割合は61%だった。

 この戦略のために「ウィスコンシン州のような重要な州で黒人の投票率の激減が起きた」という。

 2016年米大統領選でトランプ陣営のデジタル戦略責任者を務めたブラッド・パースケール(Brad Parscale)氏は以前、黒人有権者を狙っていないと主張していた。

 パースケール氏は米PBSの報道番組フロントライン(Frontline)の取材に対し、「特定の層を狙った活動はしていないとほぼ100%確信している。ましてやアフリカ系米国人なんて狙っていない」と述べていた。

 しかし、チャンネル4によると、英政治コンサルティング会社ケンブリッジ・アナリティカ(CA)がアフリカ系米国人を標的としていたことを認める内容の機密文書を、調査チームが確認したという。

 また、前回の大統領選では、トランプ氏の対抗馬だったヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)氏への投票を思いとどまらせるためにネガティブキャンペーンも行われたという。フェイスブック(Facebook)には、クリントン氏が黒人の若者を「スーパープレデターズ(非行少年たちの意)」と呼ぶ動画が掲載され、数百万人に視聴された。(c)AFP